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コラム

省エネ計算の評価方法の種類について

 省エネ計算は脱炭素社会に向けて建築物省エネ法が改正された際に生まれた基準です。私たち建築業では2025年4月から施行される建築物省エネ法改正に向け、省エネ計算の評価方法がどのようなものなのか、そして新たな評価方法がどういうものなのかを知っておく必要がありますので解説します。

1,省エネ計算とは

 はじめに、省エネ計算について解説します。省エネ計算は建築物の省エネルギー性能を計るための評価方法です。2015年7月(平成27年7月)に制定された「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(建築物省エネ法)」内で取り決められている省エネ基準を満たしているかを確かめるために使用されます。

 住宅と非住宅の省エネ計算は2017年4月1日に施行された「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(建築物省エネ法)」によって申請・届出が義務、そして2025年4月からは住宅を含むすべての新築の建築物への省エネ基準適合が原則として義務付けられる方向です。

2,評価基準について

 次に省エネ計算の評価方法は仕様ルートと標準計算ルートです。いずれも「外皮性能」と「一次エネルギー消費性能」を評価していきます。

「外皮性能」は外壁や住宅の窓部分など、住宅の断熱性能を評価するものです。対して「一次エネルギー消費性能」は風呂や台所、洗面で使う給湯設備や照明設備、家電、暖冷房設備、24時間換気設備など、住宅や建築物の室内で使われるエネルギーがどのくらい消費されるのか評価します。

 つまり、外部から内部へ、内部から外部への断熱性能と、室内の設備の効率性によって住宅の省エネ性能を評価していくということになります。

 ただし、「一次エネルギー消費性能」は、お施主様が使われる電化製品のエネルギー量は床面積に応じて一次エネルギー消費量が自動的に計算されます。そのため、お施主様から実際に使われる電化製品などの情報を提供していただかなくても計算が可能です。

3,評価基準について

 ここからは評価方法(ルート)別に評価していくのかを解説します。

①仕様ルート

 まずは仕様ルートです。本来の外皮計算は外皮面積を求めたうえで熱貫流率から熱貫流量の合計を求めますが、仕様ルートは外皮面積を求めず、各部位の固定値にカタログから熱貫流率をかけて数値を出します。一次エネルギー消費性能もあらかじめ用意されている仕様基準と適合しているか確認します。

 仕様ルートは、基本的には計算は不要で、簡単に基準に適しているかを確認できるというメリットがありますが、住宅会社の業務効率化を重視した仕様ルートとも言えます。また、一次エネルギー消費性能は温水式床暖房やエネファームなど評価できない設備があり、正確なデータが出せないというデメリットがあります。

②標準計算ルート

 次は標準計算ルートです。こちらはパソコン等で行うもっとも正確な数値が出る評価方法です。外皮性能では専用のExcelシートを使い、各部材の熱電動率などより部位ごとの外皮性能の数値を出します。一次エネルギー消費性能はWEBプログラムに設備の性能や仕様を入力し、数値を出します。

 標準計算ルートは仕様ルートでは出せないは温水式床暖房やエネファームなども評価が可能というメリットがありますが、固定値を見るだけだった外皮や開口部の面積計算が必要で住宅会社の作業手間は発生するというデメリットがあります。

 しかし、正確な計算のため、光熱費シミュレーションなどを行う場合、自分の家のリアルな省エネ性能を確認できるため、お施主様目線ではお勧めかもしれません。

③新たな評価方法

 そして省エネ計算は、2023年10月より新たな評価方法が生まれました。その方法は外皮性能を「仕様基準」で確認し、一次エネルギー消費性能をWEBプログラムで計算するというルートです。仕様ルートや標準計算ルートの両方のメリットを取り入れ、効率よく省エネ計算ができるようにと制定されています。

4,終わりに

 省エネ計算は外皮基準と一次エネルギー消費基準の2つの基準を見るために設けられた計算方法です。これからも多くの住宅が建てられることを考えると、住宅会社目線では、過度な業務量となり負担が大きくなるでしょう。しかし、お施主様目線では、省エネ性能を確認して生活ができ、住宅の資産価値も高まる基調と考えられます。双方の目線でそれぞれの評価方法をしっかり理解し、計算対応できるようにすることが大切です。

 ですが、現在建築業では労働基準法の観点からも働き方を変えていくことが求められています。効率よく進めていくためにも省エネ計算についてここでしっかりおさらいをし、お施主様に向けて正確なデータを届けられるように心がけていきましょう。

▼省エネ法改正に関するコラムはこちら

https://zaijubiz.jp/column/2024-04-12-2/

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