コラム

建築物省エネ法改正を詳しく解説

 建築業界では大きな法改正が続いていますが、現在もっとも注目されているものとして「建築物省エネ法改正」があります。しかし実際どういった理由で改正が行われ、そういった変更点でどんなことが起きるのか、見えていない方も多いのではないでしょうか。そこで今回は建築物省エネ法改正について解説します。

1,法改正が行われた理由

 建築物省エネ法の法改正のきっかけとなったのは2020年10月26日付の菅義偉元総理大臣の所信表明演説で、「2050年までにカーボンニュートラル、脱酸素社会の実現を目指す」と宣言したことです。(※1)
そしてその中でも日本のエネルギー消費の約3割を示す建築分野の省エネ化を進めていくことが課題になりました。

 そこで建築物のエネルギー消費性能の向上を目的とした建築物省エネ法(建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律)を制定・改正を進めています。

※1 注釈:令和2年10月26日第二百三回国会における菅内閣総理大臣所信表明演説
引用元URL:https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/statement/2020/1026shoshinhyomei.html?fbclid=IwAR0T-lpmU6PUBXvIGFSbtWbpnPYPyrCFKktmw5ujpa7hmifFMvqA20BPv0s

2,主な変更(予定)点

 次に今回の建築物省エネ法の法改正で一体何が変わるのかを見ていきましょう。大きな変更点は「省エネ基準(※2)適合がすべての新築住宅に義務付けられる予定」というところです。

 現行法では住宅は規模問わず届出義務、説明義務のみですが、改正後は「すべて適合義務」に変更します。したがって、建築業分野に携わる人々はいずれも「省エネ性能を確保しながらお施主様に説明する」ことが必須となります。

 もし省エネ基準に適合しない場合、または必要な手続きを怠った場合、確認済証・検査済証が交付されず、着工遅延が発生するリスクがありますので注意が必要です。

※2 注釈:省エネ基準とは…建築物が備えるべき省エネ性能の確保のために必要な建築物の構造及び設備に関する基準であり、一次エネルギー消費量基準と外皮基準からなるものです。|国土交通省
引用元URL:https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001390008.pdf

3,いつから義務になるのか

 建築物省エネ法は2025年4月から施行予定です。対象となるものは「施行日以後に着工する建築物」の建築が適合義務の対象となる予定です。施行日以前に確認申請を提出していても、着工が施行日以後の場合は適合義務の対象になります。

 ただし、2025年3月までに着工し、2025 年4月以降に計画変更を行う場合、省エネ基準適合及び省エネ適判は不要です。

4,改正に向けての課題

 以上のように、建築物省エネ法が改正されるにあたり、私たち建築業分野では多くの課題を解決する必要があります。2024年問題と称される時間外労働の上限規制も始まった中で、適切な工程管理を調整し、限られた時間の中、業務を実施していく必要があります。社内で対応していくことは難しいという方もいらっしゃると思いますが、社内での対応が難しい場合は外注(アウトソーシング)で依頼をすることも検討してみるのも一つの手段ではないでしょうか。


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