コラム

建築業界の一般的なお役立ち参考情報を掲載させていただいております。
コラムの内容は掲載時点での情報です。関係機関等からの情報も併せてご確認ください。

木造住宅の壁量計算|2026年経過措置終了について

目次

木造住宅の設計において、建物の安全性を支える基本的な計算の一つとして「壁量計算」があります。2025年4月の建築基準法の改正により、実務の流れが大きく変わりました。

法改正から約1年が経過し、当初の混乱も落ち着いてきているように思われます。しかし、2026年4月には壁量計算の経過措置が終了され、留意が必要な点もあります。

この記事では改めて、壁量計算の基礎知識から2025年の法改正に伴う変更点、さらに2026年の経過措置終了まで解説します。

在住ビジネスでは、構造計算業務のサポートを行っております。壁量計算はもちろん、許容応力度計算の代行基礎検討補助承っております。お困りごとがありましたら、お気軽にご相談ください。資料のダウンロードも可能です。

※法人(住宅事業者)向けのサービスになります。個人のお客様は住宅施工業者様経由にてお問い合わせいただきますようお願い申し上げます。

壁量計算の基礎知識と役割

木造軸組工法の建物を設計する際、地震や風による横からの力に耐えるために必要な「壁の量」を算出することが不可欠です。

壁量計算の定義と目的

壁量計算とは、地震や台風などの水平荷重に対して、建物が倒壊せずに耐えられるだけの「耐力壁」が確保されているかを確認する計算手法のことです。

木造住宅は自重や積載荷重を支える「柱」だけでなく、横揺れに抵抗する「耐力壁」をバランスよく配置しなければなりません。壁量計算を行う最大の目的は、建物の耐震性と耐風性を数値で裏付け、居住者の安全を確保することにあります。

建築基準法第46条の規定

壁量計算の根拠となるのは、建築基準法第46条です。この条文では、木造の建築物において、地震力および風圧力に対して安全なものとするために、有効な壁(耐力壁)を一定量以上設置することが義務付けられています。

構造計算(許容応力度計算)と壁量計算の違い

実務において混同されやすいのが、構造計算(許容応力度計算)と壁量計算の違いです。

  • 壁量計算
    構造計算(許容応力度計算)と比較すると、簡易的な計算手法です。
  • 構造計算(許容応力度計算)
    柱や梁の一本一本にかかる力を詳細に計算する手法です。壁量計算よりも精度が高いことから、これを行っていれば壁量計算は省略できます。

壁量計算は建物の部材の強度までを詳細に検証するものではない、という点に注意が必要です。

在住ビジネスの設計サポート

構造計算業務のサポートを行っております。壁量計算はもちろん、許容応力度計算の代行基礎検討補助承っております。

「他の業務で手いっぱいで、構造計算は外注したい」
「いつもは社内で計算しているが、従来と仕様の違うこの物件を対応してもらえないか」

こういったご相談が増えてきています。お困りごとがありましたら、お気軽にお問い合わせください。資料のダウンロードからでも大歓迎です!

※法人(住宅事業者)向けのサービスになります。個人のお客様は住宅施工業者様経由にてお問い合わせいただきますようお願い申し上げます。

2025年法改正と4号特例廃止

2025年4月から、建築基準法が大きく改正されました。この改正により、木造住宅の設計実務に多大な影響を及ぼしました。

改正後の壁量基準と算定式

今回の改正の背景には、住宅の省エネ化に伴う「建物の重量化」があります。ZEH水準の断熱材や太陽光パネルを搭載した住宅は、従来の住宅よりも重くなるため、より多くの耐力壁が必要になります。

改正後は、建物の重さに応じた新しい必要壁量の係数が導入されました。屋根の重さや断熱仕様に応じて、これまでよりも壁量が必要になるケースが出てくるため、設計の初期段階から壁の配置を意識することが重要になっています。

4号特例廃止による提出書類の変化

いわゆる「4号特例廃止」により、これまで確認申請時に省略できていた構造関係書類の提出が義務化されています。

法改正以前は設計者の責任において計算を行っていれば提出は不要でしたが、改正後は壁量計算書などの図書を審査機関に提出しなければなりません。これにより、実務担当者は正確な計算と、それを証明する書類作成のスキルがより一層求められるようになります。

詳細な変更点については国土交通省HPにてご確認ください。
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/jutakukentiku_house_tk_000166.html

壁量計算のフロー

壁量計算のフローについて簡単に解説します。

1.必要壁量の計算

壁量計算では、「地震力」と「風圧力」の2つの観点から、それぞれに必要な壁の量を算出します。最終的には、このうち数値が大きい方以上の耐力壁を設置しなければなりません。

地震力については、早見表による計算方法と、表計算ツールによる計算方法があります。詳しくはこちらのコラムにて解説しています。
コラム:「建築基準法改正」構造計算の合理化と仕様規定の新基準を確認しよう(新築用)

風の影響を受けやすい地域や、階高が高い建物では、地震力よりも風圧力による必要壁量の方が大きくなることがあるため、注意が必要です。

2.壁倍率を用いた存在壁量の計算

必要な壁の量が分かったら、次に実際に設計した建物にどれだけの壁があるか(存在壁量)を計算します。

柱と柱の間に「筋交い」を入れたり、「構造用合板」を規定の釘打ちで固定したりした壁を耐力壁と呼び、柱や梁だけでは不十分な強度を補うものになります。それぞれの壁には、耐力壁を構成する軸組の種類によってその強さを表す壁倍率が定められています。木材のサイズや筋交いの入れ方等によって倍率が変化します。

壁倍率に耐力壁の長さを掛けて、存在壁量を算出します。なお、2025年の法改正により存在壁量の準耐力壁の算入も可能になりました。

3.壁量の判定

算出した存在壁量が、先ほど求めた必要壁量(地震力・風圧力のどちらか大きい方)を上回っていれば、その壁量で問題ないとされます。

配置バランスを決める四分割法

壁の「量」が足りていても、配置が偏っていると建物はねじれるように壊れてしまいます。このバランスを確認するのが四分割法であり、こちらも住宅の壁量において重要な指標となっています。

壁量基準経過措置の終了

2025年4月に建築基準法の大きな改正がありましたが、壁量基準においてのみ、経過措置が設けられておりました。こちらについて解説します。

経過措置期間

改正後の建築確認・検査の円滑化を図る観点から、壁量基準においては、令和7年4月1日から令和8年3月31日までに工事に着手するものは法改正前の壁量基準等によることができる「経過措置期間」が設けられました。なお、経過措置の対象は「延べ面積が 300 ㎡以内の旧4号建築物」とされています。

現在は経過措置期間が終了しています。つまり今後着工する建物については、法改正後の基準に適合している必要があります。

着工日の違いによる措置

では、経過措置を適用した建物について、経過措置期間前後に着工するものは、どのように扱われるのでしょうか。こちらの画像をご覧ください。

令和8年3月31日までに着工

  • 計画変更なし
    完了検査時に改正前の壁量基準に適合が確認できればOK
  • 計画変更あり
    完了検査で改正後の壁量基準への適合が確認される

令和8年4月1日以降に着工

計画変更の有無にかかわらず、完了検査では改正後の壁量基準への適合が確認されます。

つまり、計画変更を行った場合や令和8年4月1日以降に着工した場合は改正後の基準への適合が必須で、適合していなければ確認済証や検査済証は公布されません。くれぐれもご注意ください。

また、年度末・年度初めによる混雑や昨今の資材不足による混乱も予想され、工期への影響も懸念されます。「うちは経過措置を適用していないから関係ない」とはならないようです。見通しの立てづらい状況ですが、最新の情報を確認するようにしましょう。

まとめ

2025年の法改正は、建築業界に大きな変化をもたらしました。2026年は壁量計算の経過措置も終了し、「知らなかった」では済まされない状況となっています。

建築基準法の法改正に限らず、よりよい住宅の建築に向けて、様々な法・規則が続々と改正されています。それに加えて、昨今の資材不足も重なり、現場の方たちの負担は計り知れません。

在住ビジネスでは、住宅会社の皆様をサポートするべく構造計算業務のサポートを行っております。壁量計算はもちろん、許容応力度計算の代行基礎検討補助承っております。このほかにもお困りごとがありましたら、お気軽にご相談ください。資料のダウンロードからでもお待ちしています。

※法人(住宅事業者)向けのサービスになります。個人のお客様は住宅施工業者様経由にてお問い合わせいただきますようお願い申し上げます。

資料請求