「2025年に建設業法が変わったが、具体的に何がどうなったのだろう?」
「自社の業務にどんな影響があるのか、どう対応すればいいのか知りたい」
建設業界で働く経営者や現場の管理者の方なら、今まさにこのような疑問や不安を抱えているのではないでしょうか。
2025年12月に完全施行された建設業法改正は、業界の未来を左右する非常に重要なものです。この改正は、単なる規制強化ではありません。深刻化する人手不足や長時間労働といった課題を解決し、建設業界を誰もが働きやすい魅力的な場所へと変えていくための大きな一歩です。

この記事を読めば、以下のことが分かります。
- 2025年建設業法改正の全体像と3つの柱
- 生産性向上のための「ICT」
- 法改正を受けて、あなたの会社が対応すべきこと
最新(2026年1月)の公式情報に基づいて解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
法改正により、様々な業務のアウトソーシングを検討される場合もあるでしょう。在住ビジネスでは地盤業務や敷地調査・3D測量などをはじめ、あらゆる業務を代行しております。お困りごとがございましたらお気軽にご相談ください。
※法人(住宅事業者)向けのサービスになります。個人のお客様は住宅施工業者様経由にてお問い合わせいただきますようお願い申し上げます。
目次
2025年建設業法改正の概要とポイント
建設業は社会において非常に重要な役割を担っています。しかしながら就業者の減少が著しく、様々な課題に直面しています。それら課題に対応し、持続可能な建設業を実現するために、今回の法改正がなされています。大きく3つのテーマに分けて概要を解説します。
1. 労働者の処遇改善・担い手の確保
労働者の処遇改善として、主に以下の内容が盛り込まれています。
労働者の処遇確保を努力義務化
建設業者に対して、労働者を公正に評価し適正な賃金を支払う等、適切な処遇を確保する措置の実施に努めるよう定められました。そして、国はその取り組み状況について調査・公表し、中央建設業審議会へ報告することとなりました。
ちなみに中央建設業審議会とは、国土交通省が主幹省となり設定する委員会で、主に学識経験者や建設工事の需要者、建設業者で構成されています。
労務費の基準を作成・勧告
労務費に関しては、中央建設業審議会が基準を作成し勧告しています。詳細はこちら(国土交通省サイト)にてご確認ください。
著しく低い見積りの禁止
適正な労務費確保のため、見積作成の際に著しく低い見積り・見積り依頼が禁止となりました。違反してしまうと、国土交通大臣等から勧告・公表される可能性があります。
受注者に対して原価割れ契約の禁止
発注者だけでなく、受注者に対しても原価割れで受注することが禁止されました。
法改正後は「建設Gメン」による監視が強化されているようです。請負契約について実地調査を行い、改善指導を通して取引の適正化を推進していくようです。
2. 資材高騰による労務費圧迫の防止
資材価格の高騰・高止まりが続いていますが、「その分の価格を労務費でしわ寄せする」というリスクを軽減・改善するために定められたのが、以下のような内容です。

請負契約前のルール
受注者にとっては、資材高騰などにより請負金額を変更したい場合もあるかと思います。そのような場合に備えて、資材高騰に備えた請負金額の変更方法を契約書に記載することが明確化されました。
また、受注者は資材高騰の「おそれ情報」を注文者に通知しなければならなくなりました。
「おそれ情報」とは資材の供給不足や遅延、価格高騰などのリスクの情報です。それらのリスク情報は、国や業界団体の資料・下請業者の記者発表など、客観性のある統計情報などが必要です。例としては、自然災害により工場が被災→資材の需給バランスが崩れ価格高騰につながる、などです。
請負契約後のルール
資材高騰などが実際に起こった場合、契約前に定めた「請負金額の変更方法」に従って受注者から注文者に対して請負金額の変更を協議することができます。そして、注文者はこの協議に誠実に対応する努力義務が定められました。
これにより、資材高騰分の価格転嫁協議が円滑化し、下請業者が適正な利益を確保できる環境が期待されています。
注文者は「協議を正当な理由なく拒否」「協議開始をあえて遅延」などの行為を行うと、誠実に対応していないとみなされる可能性がありますので、注意しましょう。
3. 働き方改革の推進・生産性向上
建設業では、短い工期による長時間の時間外労働なども問題となっていました。そのため、生産性を向上させ、かつ、働き方も変えていく方針が示されました。
工期ダンピング対策を強化
これまで注文者に対しては工期ダンピングが禁止されていましたが、新たに受注者に対しても非現実的な工期での受注が禁止となりました。これまで、工期不足の場合は休日出勤や早出・残業など作業員に負担がかかる形で対応している場面も多くありましたが、できるだけそういった事態を防ぐために定められたものです。
違反した建設業者には指導・監督が行われる可能性があります。
工期変更協議の円滑化
受注者が契約前に「おそれ情報」を注文者に通知することが義務となりました。また契約後には、受注者から注文者に対して工期変更の協議ができ、注文者は誠実に協議に応じる努力義務があります。
現場技術者の専任義務の合理化
請負金額によっては、現場技術者の兼任可能もしくは専任不要となりました。近年の建設工事費の高騰に伴い、専任不要の金額は既に2025年2月に引き上げられました。(それが「特定建設業許可等の金額要件の見直し」の項に記載している「専任の監理技術者等を要する請負代金額の下限」の内容です。)
兼任の要件は、請負金額のみならずいくつかありますが、ICTを活用して遠隔からでも現場確認が可能であることが定められていることが特徴的です。兼任が可能になったことで、担い手確保にもつながります。
ICTを利用した現場管理効率化
多くの下請け業者を使う建設業者や、公共工受注者に対しては効率的な現場管理を努力義務化されました。これについては国が現場管理の指針を作成しています。建設業の担い手確保や建設業の持続可能な発展のために、ICTを活用した現場管理が当たり前の時代になっていくでしょう。
ICT指針の概要
建設業の担い手不足が顕著になっている中、国は積極的なICT活用を推進しています。
ICTとは
ICTとは情報通信技術のことで、建設業においてはドローンや3Dスキャナ、ウェブカメラ、建設用ロボットなどの導入が具体例として挙げられます。

※写真提供:株式会社JFDエンジニアリング
ICT指針のポイント
特定建設業者はもちろん、その他の建設業者も含め業界全体でICT化への取り組みが不可欠であるとされています。元請・下請間の書類のやりとりを電子化させたり、工種や工程、要求精度に応じて使用機器を選択したりなどが取り組むべきこととして挙げられています。
測量はICTの時代
「中小企業省力化投資補助金(中企庁所管) 」の補助対象に、建設業において活用可能な4製品が新たに追加されています。その中の一つに「3Dスキャナ」があります。
これは従来の測量とは異なり、広範囲にレーザーを照射することで3次元の敷地情報を取得することができます。それにより、これまでは再測量が必要だった場面でも、現場に出向くことなく情報を確認することができます。
しかし、いくら補助金対象とはいえ、いきなり3Dスキャナを現場に導入するのはハードルが高いのではないでしょうか。使いこなせる人材の育成も必要になるでしょう。
そのような場合、3D測量のアウトソーシングを検討されてはいかがでしょうか。在住ビジネスでは、3D測量を全国にて承っております(※)。現場に出向かずとも、様々な角度からの画像を確認することも可能です。詳しいイメージは右の動画をご確認ください。
※一部対象外の地域がございます。詳しくはお問い合わせください。
※法人(住宅事業者)向けのサービスになります。個人のお客様は住宅施工業者様経由にてお問い合わせいただきますようお願い申し上げます。
その他の変更点
上記の3つの柱とは別軸ですが、近年の建設工事費の高騰を踏まえて2025年に変更された要件が他にもあります。
特定建設業許可等の金額要件の見直し
| 金額要件 | 改正前 | 改正後 |
|---|---|---|
| 特定建設業許可を要する下請代金額の下限 | 4,500 万円 (建築工事業:7,000 万円) | 5,000 万円 (建築工事業:8,000 万円) |
| 施工体制台帳等の作成を要する下請代金額の下限 | 4,500 万円 (建築一式工事:7,000 万円) | 5,000 万円 (建築一式工事:8,000 万円) |
| 専任の監理技術者等を要する請負代金額の下限 | 4,000 万円 (建築一式工事:8,000 万円) | 4,500 万円 (建築一式工事:9,000 万円) |
| 特定専門工事の対象となる下請代金額の上限 | 4,000 万円 | 4,500 万円 |
建設業法施行令により、上記のように要件が変更されました。これにより、これまで特定建設業許可が取得できなかった事業者も、施工できる工事の幅が広がったと言えるでしょう。
技術検定の受検手数料の見直し
人件費の高騰等を踏まえ、建設業法施行令により、技術検定の受検手数料の見直しも行われました。
|
|
改正前 | 改正後 | ||||||
| 1級 | 2級 | 1級 | 2級 | |||||
| 一次 | 二次 | 一次 | 二次 | 一次 | 二次 | 一次 | 二次 | |
| 建設機械 | 14,700 | 38,700 | 14,700 | 27,100 | 19,700 | 57,300 | 19,700 | 40,800 |
| 土木 | 10,500 | 10,500 | 5,250 | 5,250 | 12,000 | 12,000 | 6,000 | 6,000 |
| 建築 | 10,800 | 10,800 | 5,400 | 5,400 | 12,300 | 12,300 | 6,150 | 6,150 |
| 電気工事 | 13,200 | 13,200 | 6,600 | 6,600 | 15,800 | 15,800 | 7,900 | 7,900 |
| 管工事 | 10,500 | 10,500 | 5,250 | 5,250 | 12,700 | 12,700 | 6,350 | 6,350 |
| 電気通信工事 | 13,000 | 13,000 | 6,500 | 6,500 | 14,300 | 14,300 | 7,150 | 7,150 |
| 造園 | 14,400 | 14,400 | 7,200 | 7,200 | 17,200 | 17,200 | 8,600 | 8,600 |
参考:国土交通省「建設業の各種金額要件や技術検定の受検手数料を見直します」
建設業者が今から準備すべきこと
建設業法改正はすでに施行されています。ここでは、建設業者が取り組むべき事項について解説します。
ICTの導入
こちらの項でも述べた通り、生産性向上のためICT活用が薦められています。
「ICT」と聞くと難しく感じるかもしれませんが、アウトソーシングでの「3D測量」は比較的導入しやすいかもしれません。
在住ビジネスでは3D測量を承っております。レーザースキャナにより「点」ではなく「面」でデータを取得し、高い精度の現地情報を提供します。また、パソコン上で簡単に現地写真や距離を確認することができ、何度も現場に出向く手間を省くことにもつながります。ぜひ3D測量の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
※法人(住宅事業者)向けのサービスになります。個人のお客様は住宅施工業者様経由にてお問い合わせいただきますようお願い申し上げます。
勤怠管理・就業規則の見直し
時間外労働の上限規制を遵守できる体制の構築が急務です。
- 36協定の再確認と見直し
法律で定められた上限時間(原則月45時間・年360時間)を超えていないか確認しましょう - 客観的な労働時間の把握
タイムカードやICカード、PCのログイン・ログオフ記録など、誰が見ても労働時間が分かる方法で勤怠を管理する仕組みを検討しましょう - 就業規則の改定
法改正の内容に合わせて、時間外労働や休日労働に関する規定を見直しましょう
契約書・見積書ひな形の更新
法改正に対応した新しい契約書・見積書のひな形を準備し、社内で共有することが不可欠です。
国土交通省が公表する最新の標準約款や標準見積書を参考に、法務担当者や顧問弁護士とも相談しながら、自社の実態に合ったひな形を作成しましょう。特に、資材価格の変動に関する条項は必須項目となるため、確実に盛り込む必要があります。
建設業法改正に関するよくある質問
最後に、建設業法改正に関して多くの方が抱く疑問にお答えします。
最新情報はどこで確認できるか(国交省)?
最も信頼できる情報源は、国土交通省の公式ウェブサイトです。 法改正の概要やQ&A、関連資料などが随時更新されています。定期的にチェックすることをおすすめします。
(参考:国土交通省HP )
改正に違反した場合の罰則はあるか?
はい、あります。 例えば、「著しく短い工期」での契約を強要した場合など、改正された法律の規定に違反すると、国土交通大臣や都道府県知事による指示や営業停止といった監督処分の対象となる可能性があります。 法令遵守(コンプライアンス)の意識を高めることが重要です。
まとめ
最後に、この記事の要点を振り返ります。
- 改正の背景には建設業の担い手不足がある
- 改正の3つの柱: 「労働者の処遇改善」「資材高騰による労務費圧迫の防止」「生産性向上」
- ICTを活用した生産性向上が求められている
- 「ICT導入」「勤怠管理の見直し」「契約書ひな形の更新」などの対応が必要
今回の法改正は、建設業界にとって大きな変化をもたらしますが、それは同時に、業界がより健全で魅力的な未来へと進むためのチャンスでもあります。「法律が変わるから仕方なく対応する」のではなく、「自社と従業員、そして業界全体をより良くするための機会」と捉え、前向きに準備を進めていきましょう。この記事が、そのための第一歩となれば幸いです。
人手不足の対応には、業務のアウトソーシングも有効でしょう。在住ビジネスでは、ICT活用の例としても挙げられている3D測量をはじめ、地盤関連や省エネ計算、設計関係など、様々な業務代行を承っております。家づくりに関してお困りごとがありましたら、在住ビジネスまでお気軽にご相談ください。
※法人(住宅事業者)向けのサービスになります。個人のお客様は住宅施工業者様経由にてお問い合わせいただきますようお願い申し上げます。

【本コラムの参考】
国土交通省「建設業法・入契法改正(令和6年法律第49号)について」)
国土交通省「改正建設業法について」