改正建築基準法・建築物省エネ法が施行されるまで、残すところ1週間足らずとなりました。
4月前に着工するのか、後にするのか?
着工が伸びてしまっても何とかならないか?
法改正の狭間のこの時期、既に着工を急ぐ問い合わせが急増し、現場は混乱しています。
今回は、当社が建サポメニューとして「地盤」「構造計算」「省エネ計算」を提供している中で、全国の建築現場で既に混乱が始まっていることに触れさせていただきます。
▽地盤エキスパート「建サポ 地盤調査/補強工事」まで
https://zaijubiz.jp/service/j-optimize/
▽省エネ計算から適判申請まで「建サポ 省エネ計算/BELS申請」にご相談を
https://zaijubiz.jp/service/bels/
▽壁量計算から許容応力度計算まで「建サポ 構造計算」にご相談を
https://zaijubiz.jp/service/structural/
1,姉歯(あねは)事件を彷彿とさせる混乱
法律の改正があると、必ず現場は混乱します。
思い返されるのが、2005年に発覚し耐震偽造で世間を騒がせた「姉歯事件」です。
今の20代の社員の方々では知らない人もいるかもしれません。
手抜き工事などの話題もある時代でしたが、この事件が衝撃的だったのが、安全神話が強かった分譲マンションにおいて一級建築士自らが構造計算書の内容を改ざんしたということと、耐震偽造された物件が100件近かったという事で、当時筆者である私もマンション業界にいた関係で強く記憶に残っております。
この一級建築士の名前が「姉歯(あねは)秀次」ということで「姉歯事件」と言われているわけですが、当時毎日のようにニュースを騒がせ、2007年に建築基準法が改正され「建築確認・検査の厳格化」等が改められることになりました。
話を戻しますと、この時も法改正後の確認申請手続きが数カ月単位で長引くという状況が続き、現場の混乱、工期・引き渡しへの影響などがあり、一時的に経済へ大きな影響を与えました。
マンションと戸建業界の違いはあるものの、今回の2025年法改正は建築基準法だけではなく、省エネ法改正も連動しているので、その時以上の混乱が予想されます。
むしろ現場は、確認申請の遅延を避けたいがために、既に今月中の「着工」を急ぐ問い合わせが、現実的に殺到しております。
法改正における「着工」の定義は、地盤業務になります。
つまり、「3月中に地盤改良工事をやってしまいたい。」という要望が集中している状況です。今まで頼んでた地盤会社が日程を抑えられない、断られたという事で、全国対応で地盤サポートを行っている当社への問合せも殺到しているという状況になります。
当社の3月の地盤改良工事は通常月の2倍以上の受注になるでしょう。
予め日程がわかっていれば問題ないのですが、地盤の場合は調査結果によって、「改良必要」の場合に急いで工事日程を抑えるため、調査自体が3月半ば以降で「改良必要」になってしまうと、混雑時は日程確保が至難の業ですが、建サポ地盤サポートは、キャパシティには自信があるので、何とかご期待に沿える日程を抑えられてきたかなと思います。
ですので、地盤調査自体をできるだけ早い段階で実施することをお勧めしたいところです。
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2,新法適用のトリガーは「着工日」
では、現時点で混乱原因となっている「着工日」は何が基準かを見ていきましょう。
工務店サポート業務を行っている当社が日常的にお取引先様に確認する「着工日」は、基本的には「基礎着工日」のことになります。
つまり地面より上の部分(建物)の工事に着手する日のことになりますが、この度の法改正で言う「着工日」は、以下の工事のようにその前段階である地業(じぎょう)を実施した日がトリガーになってきます。
<着工扱いになる工事>
・地盤改良工事
・山留め工事
・根切り工事
・杭打ち工事など
因みに、地業工事の前の「地盤調査」に関しては、工事着手前の調査段階の作業になるため、ここで言う「着工」に該当する業務には当たらないことを補足しておきます。
また、改良工事着手前の「現場への機材の搬入」なども「着工」には該当しません。
そのため、これらの工事日程をいつ抑えられるかが、新法か旧法適用かを分けることになります。
新法の慣れない確認申請で時間がかかってしまい、引渡しに影響が出るくらいなら4号特例があるうちに進めたい。
あるいは、新法の壁量基準、省エネ基準に適合している設計をしているが、申請をスムーズに進めたいなど、理由は各社様々ですが、今月は直前になって「3月中の着工で進めたい」という住宅会社が多かったのは事実です。
お取引先様からの声で多かったのが、
「解体工事の遅れによって着工が4月にずれ込んでしまった場合、何とかなるか?」
こんな声は多く聞かれました。
結果的に、着工が4月にずれ込んでしまった場合でも、新法のルールが適用になりますが、再度、確認申請をすることまでは不要という事になっています。
ただ、確認申請をクリアすれば「セーフ」という事ではなく、最後に「完了検査」がありますので、新法の基準に則っていなければ、検査済証が発行されないという事になります。
設計変更を余儀なくされ、新たなコストが発生するという事と、何よりお施主様に多大なる迷惑が掛かることになります。
省エネ基準に関しては、省エネ基準適合義務化の最低基準は等級4であるため、近年は、ほとんどの住宅会社はそれ以上の省エネ性能基準でもともと設計しているため、性能上の仕様等においては問題ないかと推測します。
また、新壁量基準においても2026年3月度までの「経過措置期間」が設けられておりますので、旧法のままでも理屈上はクリアできるとも言えます。
ただ、大事なのは手続きを乗り切る事ではなく、その先にはお施主様がいることを常に思い返して説明判断をしていていただければと思います。
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3,コンプライアンス意識を考えましょう
ここまでのお話で感じ取っていただければと思いますが、「法律」と「お施主様」と「経営上の問題」の狭間で、どうしても何らかの無理が生じた時に「何らかの抜け道」「何らかのごまかし」を考えてしまう場面があるかと思います。
まさに当時の姉歯事件も、そうせざるを得ない状況に置かれ、偽造に手を染めてしまったと考えられます。
その結果がもたらす会社と個人に対する損害は、大きなものになります。
おそらく今回の法改正で何らかの違反事件が発生するのではないかと懸念しています。
法律の改正は、建築業界に限ったことではなく、それに該当する企業は勿論、管轄する行政機関及び関係各所においても全員が初めてのことになりますので、来月以降どのような混乱が待ち受けているかも「始まってみないとわからない」というのが正直なところでしょう。
そういう時期だからこそ、今まで以上の「コンプライアンス意識」をしっかり持つことが重要です。
20年前の当時と違って、近年はいろんな情報、いろんなツール、いろんなサービスがパソコンを叩けばすぐ出てきます。
社内だけの情報で判断せず、「他の会社はどうしているのか?」「どういう手続きをすればいいのか?」など、常に最新の情報収集ができる環境づくりが重要かもしれません。
最近は、「合併」「買収」「倒産」を耳にすることが増えてきたように感じます。
中小工務店など1企業では対応しきれない時代に入ってきているのかもしれません。
「人材確保」「社員育成」が難しいようでしたら、「DX化の採用」「アウトソーシングの採用」を起用していくことをお勧めします。
今回のコラムで触れた内容は、在住ビジネスの提供サービス「建サポ」の中の「地盤調査/補強工事」「構造計算」「省エネ計算」と3つ建サポメニューに該当する内容になります。
例えば、省エネ計算サービスを利用のお取引先は、
「今回は地盤の改良工事も合わせてお願いしたい」
「構造計算も一緒にお願いできないか」
とご相談いただいております。
まとめてご相談いただけるように各分野の専門スタッフを整えておりますので、一つのサービスでつながることで、多くの業務の軽減につなげられる企業が在住ビジネスの「建サポ」だという事をお伝えしておきたいと思います。
来月以降の最新の話題が見えてきましたら、また次回以降でお届けしたいと思います。
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▷参考資料:国土交通省
姉歯(あねは)建築設計事務所による構造計算書の偽造とその対応について
https://www.mlit.go.jp/kisha/kisha05/07/071117_.html