令和6年11月29日、国土交通省の報道・広報のサイトにて、住宅の省エネ化への支援強化に関する予算案の閣議決定が公表されました。
この内容は、国土交通省、経済産業省、環境省が連携して取り組む内容で、今後の住宅の省エネ化に向けて大変意気込みを感じる内容となっており、今回のコラムでは公表されている内容を抜粋してお話しさせていただきます。
1,背景と概要について
既に本コラムでも掲載させていただいてきましたが、省エネに関しては2025年4月から省エネ基準適合義務化がスタートします。しかし、これはゴールではなく、これからの省エネ時代の始まりに過ぎず、目指すところは2050年カーボンニュートラルの実現が背景にあります。2030年には全ての新築住宅においてZEH・ZEB水準を基本とすることが決まっております。その為、関係省は「ZEH水準を大きく上回る住宅(GX志向型住宅)」の新築や子育て世帯等を対象とする長期優良住宅やZEH水準住宅の住宅を支援するために、新たな補助金制度を創設することとなった流れになります。
これは、賃貸住宅も含めた幅広い支援になるという事ですが、他にも断熱窓への改修や高効率給湯器の導入を支援する方針も示される内容になっています。
ただ、現時点では「閣議決定」の段階ですので、国会の補正予算の成立が前提となることは補足させていただきます。
2,子育てグリーン住宅支援事業 令和6年度補正予算案1,850億円
新築の省エネ住宅に対する支援の対象は「GX志向型住宅」としており、断熱等性能等級6以上や一次エネルギー消費量の削減率など適合基準が定められており、補助額は160万円/戸となります。
また、子育て世帯等を対象とする場合は、長期優良住宅、ZEH水準住宅の条件に応じて、40-100万円/戸の補助額となる予定です。
詳しくは、以下の表をご参照ください。
「国土交通省 報道・広報 令和6年11月29日」引用
3,3省連携による住宅の省エネリフォーム等の補助制度
省エネ改修においては、各省により以下の内容で令和6年度補正予算案が上げられております。
- 高断熱窓の設置
断熱窓への改修促進等による住宅の省エネ・省CO2加速化支援事業【環境省】
補正予算案 1,350億円
- 高効率給湯器の設置
高効率給湯器導入促進による家庭部門の省エネルギー推進事業【経済産業省】
補正予算案 580億円
- 既存賃貸集合住宅向けエコジョーズ等取替
既存賃貸集合住宅の省エネ化支援事業【経済産業省】
補正予算案 50億円
- 開口部・躯体等の省エネ改修工事
子育てグリーン住宅支援事業【国土交通省】
補正予算案 400億円の内数
4,最後に
来年からスタートする省エネ基準適合の断熱性能等級4が最低基準になりますが、
早い段階から省エネ性能基準が高い住宅を目指される必要があると思います。
近い将来、それが当たり前になる時代がそこまで来ております。
「仕様基準より誘導仕様基準を目指していく」
補助金はその流れに拍車をかけるための国の施策となります。
来年4月以降は建築確認申請でかなりの混乱、遅延が予想されますが、住宅会社様において大事なのは、円滑な申請手続きより、どのような住宅づくりを会社として目指していくかの方向性を明確化することが大事かと感じます。
▽参照報道はこちら
https://www.mlit.go.jp/report/press/house04_hh_001249.html
▽国土交通省・環境省の「子育てグリーン住宅支援事業」について
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk4_000290.html
▽省エネ計算業務でお困りの場合は「建サポ」にご相談を
https://zaijubiz.jp/service/bels/
▽「建サポ」に関する問い合わせ
https://zaijubiz.jp/contact/