コラム

建築で備える!東日本大震災 あれから14年

2025年3月11日で、東日本大震災から14年を迎えました。改めて亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げます。
震災直後に生まれた子が、今や高校生になる年月が経ちました。あれだけの被害の記憶を薄れさせてはいけない。
今回は、建築業界において避けては通れない巨大地震での経験を風化させないためにも、甚大な被害をもたらした東日本大震災の教訓を振り返っていきたいと思います。

ここ最近の報道では、来たる南海トラフ地震に関する報道が多く見受けられます。
東海・東南海の地震に対する意識が高まることは重要なことかと思います。
ただ、北日本エリアの地震警戒が弱まったわけではありません。
2年以上前から運用が開始された「北海道・三陸沖後発地震注意情報」についてはご存じでしょうか?
知ることが備えることにつながると願い、本コラムでは建築目線で備えられることは何なのかをお話しさせていただきます。

▽建てる前に揺らす!建築の地震対策は「wallstat入力・検証代行」まで
https://zaijubiz.jp/service/wallstat/
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1.東日本大震災の概要

地震名 :平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震 ※東日本大震災
発生日時:平成23年(2011年)3月11日 14時46分
発生場所:三陸沖(北緯38度06.2分、東経142度51.6分、深さ24km)
規 模 :9.0(モーメントマグニチュード)
最大震度:7(宮城県栗原市)
計測震度:6.6(宮城県栗原市)
被害家屋:全壊129,391棟、半壊265,096棟、一部損743,298棟
     ※被害エリアは、北海道から静岡県に及ぶ。
     ※平成24年9月11日時点調査(総務省消防庁資料より)

地震の規模を表現する指標において「M(モーメントマグニチュード)」「震度」「計測震度」などの用語が使われます。
では、東日本大震災におけるM9.0はどのくらいの規模の地震エネルギーナなのでしょうか?これは世界規模で見てみるとどうなるでしょう。
1900年以降では、1960年チリ地震がM9.5、1964年アラスカ地震がM9.2、2004年インドネシア・スマトラ地震がM9.1で、それらに次ぐ4番目に大きく、国内では最も大きい地震規模だったと言えます。
記憶に新しい国内の大地震で見ていくと、熊本地震・阪神大震災がM7.3、能登半島地震がM7.6となり、圧倒的な地震エネルギーであったことがわかります。
また、一般的に馴染みがある指標は「震度」表示かと思いますが最大震度は「7」であり、記載した国内の大地震は全て「震度7」クラスであったことはご存じのことと思います。
その「震度」を算定する上で必要なのが、全国に整備された計測震度計による「計測震度」になります。1996年以降の地震では、最も大きい計測震度は熊本地震の6.7であり、東日本大震災は6.6のそれに次ぐ揺れだったと言われております。
津波のイメージが大変強い大地震でしたが、地震の大きさにおいても国内では圧倒的に大きな災害であったことがわかると思います。

この上で、私たち建築業界が注目すべきところは、被害家屋の状況になります。
被害家屋は約13万棟となっていますが、国交省の浸水区域の調査では約12万棟が津波により全壊したとなっております。
木造住宅が津波に対しては、圧倒的に弱いことが証明されたともいえます。
津波から木造住宅を守るという事は、現状では難しいことでしょう。
ただ、それ以外の倒壊建物及び半壊、一部損の木造住宅においては、建築段階また耐震改修の段階で対策は講じられるのではないか?
国土交通省国土技術政策総合研究所等の報告書では、おおむね旧耐震基準の住宅の被害が多く、新耐震基準、耐震改修・補強が施された建物においては被害を免れているとなっています。
この4月から建築基準法改正(いわゆる4号特例縮小)が施行され、40年ぶりに壁量基準も変わり、新築住宅においてはさらに耐震性能のベースアップがなされます。
ただ、これは「計算上の耐震性能」が向上するのであって、実際の地震波による検証には疑問が残ります。設計に携わる方はお分かりだと思いますが、建物の実際の耐震性は、設計プランによって大きく左右します。
壁が多ければ良いのではなく、壁量のバランス、重心と剛心のバランスによって、地震波次第で建物は円を描くように捻じれの力が働きダメージを蓄積します。
東日本大震災の揺れは「大変長い揺れ」だったと記録にあります。
長ければ長いほど、繰り返しの余震があればあるほど、ダメージが蓄積し、倒壊はしなくとも「住み続けられない家」となり、建て替えを余儀なくされることもあります。
設計者が心のどこかで抱えるこの不安を解消できるツールとして、震災当時にはなかった倒壊シミュレーションソフト「wallstat」が、現代にはある事を認知いただければと思います。過去に配信した「wallstatの検証動画」は本コラムの後半で、アーカイブ視聴にてご案内させていただいておりますので、是非最後までご購読いただければと思います。

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2.北日本版巨大地震「北海道・三陸沖後発地震注意情報」

さて、一旦、東日本大震災から離れた話題になります。
冒頭で触れた「北海道・三陸沖後発地震注意情報」は、皆さんご存じでしょうか?
先日、テレビでも報道されておりましたが、最大の課題は「認知度が低い」という事だといいます。
これは、「北海道の根室沖から東北地方の三陸沖の巨大地震の想定震源域やその周辺でM7.0以上の地震が発生し、大規模地震の発生可能性が平常時より相対的に高まっている際に発表される情報」ということです。

昨年「南海トラフ地震臨時情報」が発表されたことは記憶に新しいかと思います。
簡単に言えば、この北日本版が「北海道・三陸沖後発地震注意情報」と理解すれば、一旦はわかりやすいかと思います。
運用開始からまだ2年ほどということもあり、認知度が未だ低いのは仕方のないこととして、本コラムで少しでも認知度向上に繋がればと思います。
そもそも運用開始のきっかけになったのは東日本大震災のその後の調べによるものだったとのことで、実は、甚大な被害を及ぼした東日本大震災の2日前に、震災と同じ三陸沖を震源とするM7.3の地震が起きていたのがわかっており、当時は気に留められなかったとのこと。ただ、これが今では東日本大震災の「前触れ」と考えられており、この「前触れ」を今後の防災に活かすために運用が始まったのが、「北海道・三陸沖後発地震注意情報」という事になります。
本震が来る前に大地震に備える危機意識を高めるという事は、被害を抑える上でも大変重要なことです。南海トラフ地震と異なり、この注意情報は「日本海溝・千島開口沿い」の地震発生を対象としており、まさに北日本版の南海トラフ地震注意情報といえるでしょう。
突発的な大地震の前に防災意識を高めるため、「日頃の備えの再確認」「発災時にすぐ避難できる準備」を促すことを目的としており、あくまでも「事前非難を呼びかけるものではない」という事は理解しておくと良いかもしれません。

参照元:国土交通省気象庁 「北海道・三陸沖後発地震注意情報」について
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/jishin/nceq/info_guide.html

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3.備えたことしか役に立たない教訓

大地震が発生してからでは、「備えたことしか役に立たなかった」という声を聞きます。
津波被害が甚大だった東日本大震災においては、家を守ることは難しく、逃げることで精一杯だと思います。ただ、逃げる場所の確認、備蓄品などの備えがあれば、被害も抑えられるでしょう。そういった「心の備え」に加えて、私たち建築に携わる者は「建築設計の備え」を心掛けていく必要があると思います。
津波からは逃げるしかないですが、地震の揺れだけなら住み続けられる家づくりを追及していかなければならない。この視点からwallstat(ウォールスタット)検証動画をご視聴いただければと思います。
wallstatの開発者は、冒頭の被害状況のフェーズで触れさせていただいた国土交通省国土技術政策総合研究所に在籍していた方になり、今では京都大学生存圏研究所の准教授、一般社団法人耐震性能見える化協会の理事長として活動されております。
経歴からも大変信頼を置ける精度の高いフリーソフトと考えております。

地震に強い住宅はどのようなものか?
wallstatならその確認ができます。

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