「所有している建物の解体を考えているけど、アスベスト調査って必要なの?」
「リフォーム工事を請け負ったが、調査が義務になったのを知らなかった…」
建物の解体や改修工事を予定している方にとって、アスベスト(石綿)の問題は避けて通れません。特に近年、法改正によってアスベストの事前調査と結果の報告が義務化され、対応を誤ると罰則の対象となる可能性もあります。
しかし、具体的に「いつから」「どんな工事が対象で」「何をすればいいのか」が分からず、不安に感じている方も多いのではないでしょうか。

これまでアスベストについては何度も取り上げてきましたが、今回は改めて事前調査の対象工事と報告手順について解説していきます。
「社内で対応していたが、手が回らなくなってきたので外注したい」
「調査に慣れている会社にお願いしたい」
そのようにお考えの住宅会社様は、在住ビジネスの石綿事前調査サービスがお勧めです。住宅リフォームはもちろん、非住宅などの中規模・大規模物件の調査も承っております。お気軽に資料請求・お問い合わせください。
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目次
アスベスト調査義務化の概要
アスベストの事前調査に関する規制強化は、段階的に進められました。アスベスト調査がなぜ義務化されたのか、その背景と目的を理解しておきましょう。
【2021年4月】全ての改修工事で調査が義務化
アスベストに関する規制は、大気汚染防止法および石綿障害予防規則(石綿則)という法律に基づいて定められています。これらの法律が改正され、アスベストの飛散防止対策が大幅に強化されました。
アスベストとは、天然の鉱物繊維であり、かつては断熱材や耐火材として多くの建築物に使用されていました。しかし、その繊維を吸い込むと、肺がんや中皮腫といった深刻な健康被害を引き起こすことが判明しています。過去には、解体工事などの際にアスベストが飛散し、作業員だけでなく近隣の住民にまで健康被害が及ぶという痛ましい事例が後を絶ちませんでした。
このような背景から、工事に関わる作業員や周辺住民の健康を確実に守り、アスベストの飛散を社会全体で未然に防ぐことを目的として、まずは厳格な調査の義務化が進められたのです。アスベストの有無を設計図書等の文書と目視で調査し、その結果は3年間保存する必要があります。
(参考:厚生労働省「アスベスト(石綿)情報」 )
【2022年4月】一定規模以上は調査結果の報告義務
調査義務化の一年後には、一定規模以上の工事について、事前調査結果の届出が義務化されました。
- 80㎡以上の解体工事
- 請負金額100万円以上の改修工事
上記に当てはまる工事は全件、石綿事前調査結果報告システムでの届出が必須となります。
ここで注意しなければならないのは、原則としてほぼすべての解体・改修工事で事前調査自体は必要であるという点です。上記の規模に満たない工事は「報告義務」が免除されるだけで、「調査義務」がなくなるわけではないので注意しましょう。
【2023年10月】資格者による調査の義務化
アスベスト調査は専門知識がない者でも実施可能でしたが、不適切な調査によるアスベストの見落としや、ずさんな取り扱いが問題視されていました。そこで、2023年10月からは、資格を持つ者がしっかりと調査を行うことが義務化されたのです。調査対象となる建築物によって、種類が区分されています。
- 一般建築物石綿含有建材調査者
一般建築物石綿含有建材調査者に係る講習を修了した者で、全ての建築物の調査を行う資格 - 特定建築物石綿含有建材調査者
一般建築物石綿含有建材調査者の講習内容に加えて、実地研修や、口述試験を追加したもので、全ての建築物の調査を行う資格 - 一戸建て等石綿含有建材調査者
一戸建て住宅および共同住宅の内部に限った調査(共有部分は除く)を行う資格
適切な資格を取得することで、より専門的な調査が可能になります。
(参考:厚生労働省「石綿総合情報ポータルサイト」)
石綿事前調査はアウトソーシングの時代
このように年々規制が厳しくなる中で、「人の入れ替わりが激しい中で、社内で資格者を養成し対応することが難しくなってきた」という声も聞かれます。また、「一般的な戸建の規模であれば調査できるが、中規模・大規模物件までは対応する知見が無い」という声もあがっています。
そのような方は石綿事前調査のアウトソーシングを検討してもよいでしょう。在住ビジネスでは全国対応(※)にて石綿事前調査を承っております。
※一部対象外の地域がございます。詳しくはお問い合わせください。
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【2026年1月】工作物の解体工事も資格者による事前調査義務化
そして、2026年1月1日以降着工の工事から、工作物の解体工事を行う際にも資格者による事前調査が必須となりました。
- ボイラー
- 貯蔵設備(穀物貯蔵は除く)
- 煙突(建築物に設ける排煙設備等の建築設備を除く)
- トンネルの天井版
- 遮音壁
上記はほんの一例ですが、様々な工作物が対象となっています。また、調査には「工作物石綿事前調査者」などの資格が必要で、誰でもできるわけではありません。
(参考:厚生労働省「石綿総合情報ポータルサイト」)
対象外の条件
一方で、以下のような特定の条件下では、事前調査そのものが不要となる場合があります。
- 極めて軽微な作業
釘を打って固定する、ビスを留めるといった、建材をほとんど損傷させない作業。ただし、電動工具で穴をあける作業などは対象外です。 - 既存の塗装の上からの再塗装など
下地調整(ケレン作業など)を行わず、単に材料の表面に新たな塗装材を塗るだけの作業。 - 2006年9月1日以降に着工された建築物
2006年(平成18年)9月1日以降は、アスベスト含有率が0.1%を超える製品の製造・使用が全面的に禁止されました。そのため、この日付以降に着工されたことが設計図書などで明らかな建築物は、アスベスト含有の恐れがないと判断され、事前調査(分析調査など)は不要です。ただし、そのことを書面で確認・記録する必要はあります。
石綿事前調査の適正な実施について
石綿事前調査の実施については、厚生労働省のこちらの動画で解説されています。
(参考:厚生労働省「石綿総合情報サイト」)
事前調査から報告までの流れ
では、実際に工事を行う際には、どのような手順で調査と報告を進めればよいのでしょうか。ここでは、基本的な4つのステップを解説します。
ステップ1 書面調査
まず、設計図書や施工記録などの書類を確認し、建物の着工年月日や使用されている建材の種類、製品名などを調べます。ここで2006年9月1日以降の着工であることが確認できれば、アスベスト含有の可能性は低いと判断され、次の目視調査や分析調査を省略できる場合があります。
ステップ2 目視調査
書面調査でアスベストの有無が判断できない場合、現地で実際に建材を確認する目視調査を行います。2023年10月1日以降は、この調査を有資格者が行う必要があります。壁、天井、床、配管の保温材など、アスベストが使用されている可能性のある箇所をくまなくチェックします。
ステップ3 分析調査(アスベスト含有みなし)
目視でも建材の種類が特定できない、あるいはアスベスト含有の疑いが払拭できない場合は、その建材の一部を試料として採取し、専門の分析機関でアスベストの有無と含有率を調べます。
ただし、分析には時間と費用がかかるため、分析を行わずに「アスベスト含有ありとみなす(みなし措置)」ことも可能です。この場合、分析費用はかかりませんが、アスベスト除去工事が必要になるため、全体のコストを考慮して判断する必要があります。
ステップ4 電子システムでの報告
調査が完了したら、報告対象の工事(解体80㎡以上、改修100万円以上)の場合は、元請業者が石綿事前調査結果報告システムを通じて、管轄の労働基準監督署と自治体に報告します。このシステムは、政府が運営する「GビズID」を取得することで利用できます。
(参考:厚生労働省・環境省「石綿事前調査結果報告システム」)
違反した場合の罰則規定
アスベスト調査の義務化は、健康被害を防ぐための重要なルールです。そのため、違反した場合には厳しい罰則が科せられます。また、労働基準監督署や自治体がパトロールを実施し、場合によっては違反企業名や事例を公表することもあります。
調査義務違反の罰則内容
事前調査を適切に行わずに解体・改修工事を行った場合、石綿障害予防規則に基づき、30万円以下の罰金が科される可能性があります。
報告義務違反の罰則内容
事前調査結果の報告を怠ったり、虚偽の報告をしたりした場合は、大気汚染防止法に基づき、30万円以下の罰金が科される可能性があります。
「知らなかった」では済まされないため、必ず法令を遵守して工事を進めることが重要です。
アスベスト調査のよくある質問
最後に、アスベスト調査に関して多くの方が抱く疑問にお答えします。
もしアスベストが見つかったらどうする?
法律で定められた基準に従って、適切な除去工事や封じ込め、囲い込みといった措置を行う必要があります。
アスベストの除去作業は、飛散防止対策を徹底して行う必要があり、専門の知識と技術が求められます。作業レベルに応じて、都道府県や労働基準監督署への届出も必要です。アスベストが見つかった場合は、自己判断で対処せず、必ず専門の除去業者に相談してください。もし除去等の措置義務違反をしてしまった場合、3ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金が科せられる恐れがあります。
80㎡未満や100万円未満の工事は対象?
報告義務の対象外ですが、事前調査そのものは原則として必要です。
この点は非常に誤解されやすいポイントです。解体部分の床面積が80㎡未満の解体工事や、請負金額が100万円未満の改修工事は、電子システムでの「報告義務」はありません。しかし、アスベスト飛散のリスクは規模に関わらず存在するため、「調査義務」は免除されません。
また、報告義務がない工事であっても、調査結果の記録を作成し、3年間保存する義務がありますので注意してください。
まとめ
今回は、アスベスト調査の義務化について、その背景から具体的な手順、罰則までを網羅的に解説しました。最後に、重要なポイントを振り返りましょう。
- 義務化の開始時期
2021年4月から事前調査が義務化され、2022年4月には一定規模以上で報告の義務化、2023年10月からは有資格者による調査が必須となりました。 - 報告義務の対象工事
解体工事は床面積80㎡以上、改修工事は請負金額100万円以上が対象です。 - 調査義務は原則すべて
報告義務の対象外となる小規模な工事でも、事前調査と結果の3年間保存は義務です。 - 違反には罰則
調査や報告を怠ると30万円以下の罰金が科される可能性があります。
アスベストに関する法規制は、あなた自身と社会全体の安全を守るための重要なルールです。解体や改修工事を計画する際は、この記事を参考に、正しい知識を持って、安全な工事を実現してください。
