コラム

建築業界の一般的なお役立ち参考情報を掲載させていただいております。
掲載内容と異なるケースもございますので、関係機関等からの情報も併せてご確認いただければと思います。

新ZEHとは?2027年からの省エネ基準「GX ZEH」を解説します

目次

住宅事業者の皆様。2025年4月に改正建築物省エネ法が施行されましたが、2027年にはさらにZEH基準の見直しが行われることはご存じでしょうか?

また、住宅購入予定の皆様。「そろそろマイホームを建てたいな」と考えて住宅会社の担当者と話していると、「これからはZEH(ゼッチ)が当たり前になりますよ」「2027年には新しい基準が…」といった話を聞く機会が増えていませんか?

なんとなく省エネで良い家だとは分かっていても、「新ZEHって何?」「今までのZEHと何が違うの?」「基準を満たさないと家が建てられなくなるって本当?」など、専門的な話が多くて混乱してしまう方も多いのではないでしょうか。

家づくりは一生に一度の大きな買い物。将来後悔しないためにも、最新の省エネ基準について正しく理解しておくことが非常に重要です。

この記事では、住宅建築を検討中のあなたが抱えるそんな疑問や不安を解消するため、以下の点を分かりやすく解説します。

  • 新ZEH(GX ZEH)の基本的な定義
  • 新ZEHで求められる具体的な基準や要件
  • 新ZEH基準の住宅を建てるメリット

この記事を読めば、今後の家づくりのスタンダードとなる「新ZEH」の全体像が分かり、自信を持って家づくりを進められるようになるでしょう。

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2027年4月からの新ZEHとは?その定義と目的

まずは、話題の「新ZEH」がどのようなものなのか、まずは基本的な定義から見ていきましょう。実は「新ZEH」という言葉は通称で、その本質を理解するには、まず基本となる「ZEH」の定義を知ることが近道です。

ZEHの基本的な定義(経済産業省)

ZEH(ゼッチ)とは、「Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」の略称です。経済産業省によると「外皮の断熱性能等を大幅に向上させるとともに、高効率な設備システムの導入により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギーを実現した上で、再生可能エネルギー等を導入することにより、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとすることを目指した住宅」と定義されています。

(参考:経済産業省 資源エネルギー庁 「ZEHの定義(改訂版)戸建住宅」)

簡単に言うと、以下の3つの要素を組み合わせて、年間のエネルギー消費量を実質ゼロ以下にする住宅のことです。

  • 断熱
    高断熱の壁や窓を採用し、外の暑さや寒さの影響を受けにくくする。
  • 省エネ
    高効率のエアコンや給湯器、LED照明などを使い、エネルギー消費を抑える。
  • 創エネ
    太陽光発電システムなどでエネルギーを創り出す。
※イメージ図

「使うエネルギー」を減らし、「創るエネルギー」でそれをまかなうのが、ZEHの基本的な考え方です。

新ZEH(GX ZEH)の概要

それでは、本題の「新ZEH」とは何でしょうか。一般的に「新ZEH」と呼ばれているのは、正式には「GX ZEH」のことを指します。
※GX ZEH-M(集合住宅版のZEH)も同時に定義されていますが、このコラムでは「GX ZEH」について解説します。

これまでは「ZEH」=「一次エネルギー消費量が正味ゼロまたはマイナスの住宅」の意味で用いられていましたが、これからは「GX ZEH」がこの意味となります。2027年4月以降、この定義となることが予定されています。

制度が変更される背景

「2030年にZEH基準の水準の省エネルギー性能の確保を目指す」、「2050年のストック平均でのZEH基準の水準の省エネルギー性能の確保を目指す」という2つの政府目標が掲げられています。これは、2021年に閣議決定された「第6次エネルギー基本計画で定められたもの」です。

2050年の目標達成に向けて2030年代後半には広く普及が期待される住宅として、新たに定義が設けられたのが「GX ZEH」ということになります。

(参考:経済産業省 資源エネルギー庁 「GX ZEH」及び「GX ZEH-M」を定義しました)

これまでの省エネ基準変遷

「2027年から基準が厳しくなる」という話を聞いて、不安に思っている方も多いかもしれません。ここでは、今後のスケジュールと新ZEH(ZEH水準)の関係性を時系列で整理します。

2025年4月からの省エネ基準適合義務化

まず第一段階として、2025年4月からすべての新築住宅に対して「省エネ基準」への適合が義務化されました。これにより、断熱等性能等級または一次エネルギー消費量等級が「4」未満の建物は建築ができなくなりました。

2027年のZEH水準義務化やその後の動向

先に述べたようにこれからは、「さらに省エネルギー性能の高い住宅が当たり前になること」が期待されています。これに伴い「GX ZEH」が定義されたわけですが、政府目標となっているこちらに向けて、将来的にはこの「GX ZEH」が義務化されるのではないか?との見方も出てきています

新ZEHの具体的な基準と要件

では、今回新たに定義された「GX ZEH」はどのような変更点があるのでしょうか。具体的に見ていきましょう。

【変更点①】GX ZEHシリーズ

現行のZEHでもシリーズが定められていますが、GX ZEHの定義にあたって「GX ZEHシリーズ」と、シリーズ名も改められます。

現行ZEHシリーズ
GX ZEHシリーズ
ZEH
ZEH+
Nearly ZEH
ZEH Oriented
GX ZEH
GX ZEH+
Nearly GX ZEH
GX ZEH Oriented

各シリーズについては経済産業省発表の「GX ZEH・GX ZEH-M 定義」をご覧ください。

【変更点②】断熱等性能等級の引き上げ

断熱等性能等級とは、住宅の壁や窓などの断熱性能を示す指標です。現行ZEH水準は断熱等性能等級「5」ですが、GX ZEHでは断熱等性能等級「6」の基準を満たすこと、とされています。

【変更点③】一次エネルギー消費量削減率(再エネ除く)の引き上げ

そもそも一次エネルギー消費量とは、住宅で使う設備のエネルギー消費量を評価するものです。

一次エネルギー消費量削減率とは、「基準とされる一次エネルギー消費量に対して、これから建てようとしている住宅の一次エネルギー消費量がどのくらい削減されているか」を示すものです。

この一次エネルギー消費量削減率(再生可能エネルギーを除く)が「20%以上」「35%以上」に引き上げられました。

高効率なエアコンや給湯器などを採用することで、一次エネルギー消費量削減率は高くなります。

【変更点④】一次エネルギー消費量削減率(再エネ含む)の引き上げ

【変更点③】にて再生可能エネルギーを除いた一次エネルギー消費量削減率を示しましたが、再生可能エネルギーを含んだ削減率も新たに定義されています。

現行ZEHの削減率(再エネ含む)
GX ZEHの削減率(再エネ含む)
ZEH・ZEH+:100%以上
Nearly ZEH:75~100%未満
GX ZEH:100~115%未満
GX ZEH+:115%以上
Nearly GX ZEH:75~100%未満

 
つまり、創エネの観点からも、性能の高い住宅が求められていると言えるでしょう。

【変更点⑤】設備要件の追加

  • 蓄電池
  • 高度エネルギーマネジメント
  • EV充電設備 ※推奨 ※建築士に説明義務あり
  • 再生可能エネルギー導入検討 ※推奨(GX ZEH Orientedにおいて)※建築士に説明義務あり

なお、再生可能エネルギー設備はこれまでのZEH基準でも示されていたように、GX ZEH Orientedを除いて必須となっています。

ちなみに「高度エネルギーマネジメント」とは、エネルギー計測装置(HEMS)により再生可能エネルギーの発電量をを見える化し、住宅内の冷暖房・給湯設備や蓄電池を制御できる設備です。

省エネ計算でお困りなら

2025年4月に建築物省エネ法が改正、そして2027年には新ZEH基準が定義されるなど、目まぐるしく制度が変わってきています。その都度、新しい制度に対応していくのは簡単な事ではないでしょう。また、建築に係る制度は省エネ関連に限らず年々変化しています。さらに労働環境の管理もしなければならない中で、様々な業務を社内対応するのではなく、「外注できるところは外注へ」といった流れが近年できているようです。

在住ビジネスでは、お困りの住宅会社様向けに省エネ計算の代行を承っております。BELS申請省エネ適合性判定申請も併せて承っております。気になることがございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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新ZEH基準の住宅を建てるメリット

「基準が厳しくなるのは分かったけど、具体的にどんな良いことがあるの?」と感じる方もいるでしょう。メリットについて解説していきます。

光熱費の削減と快適な室内環境の実現

新ZEH水準では断熱等級が引き上げられていることや蓄電設備が必要になっていることから、光熱費の削減が期待できます。また、部屋ごとの温度差が少なくなることが期待でき、冬場のヒートショックのリスク低減などにも繋がるでしょう。

将来の資産価値の維持向上

今後、省エネ基準がさらに厳しくなることを見越すと、新ZEHの水準で住宅を建てておくことは、将来にわたってその家の価値を高く保つことになるでしょう。

将来、家を売却したり貸したりする際にも、省エネ性能の低い住宅よりも高く評価され、有利な条件で取引できる可能性が高まります。

補助金や住宅ローン減税の対象になる可能性

これまでZEH水準の省エネ性能を持つ住宅は、補助金制度の対象となってきました。代表的なものに「子育てエコホーム支援事業(※)」等があります。

※2024年12月31日をもって交付申請(予約含む)の受付を終了されています。

補助金などの制度は年度ごとに変更されるものですので、明確に「このような補助金が出ます」といったご案内はできません。しかし、国としても新ZEH基準に則った住宅を増やしていきたいはずですから、補助金や住宅ローン減税の制度改正などが行われる可能性はあります。これについては公式の発表を待ちましょう。

まとめ

今回は、これからの家づくりの新常識となる「新ZEH(GX ZEH)」について解説しました。

最後に、この記事の重要なポイントを振り返りましょう。

  • 新ZEH(GX ZEH)とは、2027年4月に適用予定の新しいZEH基準。
  • これまでのZEH水準と比較して、より省エネ性能の高い住宅の建築を目指すものである。
  • 新ZEH水準の住宅はこれまで以上に光熱費を削減し、快適な暮らしを実現できるだけでなく、将来の資産価値も維持しやすい。

省エネ性能に関しては2025年4月に大きな法改正がありましたが、さらに2027年にも制度の変更が予定されている、ということになります。こういった制度の変更に、内製化ですべて対応していくのが困難な状況はありませんか?

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