新築住宅に入居して、もしも、家が傾てしまったら?
原因として考えられることは、大きく分けて3パターンかと予想されます。
一つ目は、地震による液状化現象など想定以上の自然エネルギーが建物に加わり、地盤沈下が発生してしまうケース。
二つ目は、新築建築時の地盤調査、地盤補強工事などの施工不良により、不同沈下事故が発生してしまうケース。そして三つめは、地盤ではなく建物自体の施工不良で床が傾いてしまうケースが考えられます。
その為、ほとんどの場合、新築時には「地震保険」「地盤保証」「瑕疵保険」に加入するのが基本とされています。
「保険?保証?違いは何?」
「施主が加入?施工会社が加入?」
今回のコラムでは、これらの違いについてご説明させていただきます。
1,地震保険について
まずは地震災害による地盤沈下のケースですが、この修復費用を補うためには基本的には損害保険会社が取り扱う「地震保険」で対応することが原則とされております。
これは大地震による損害は、一個人だけの問題ではなく広域にわたる事、また民間会社では保証しきれない損害請求額になることも想定され、国が「再保険」という形をとることで成り立っているものだからです。
わかりやすく言うと、金融庁の管轄の保険制度のため、損害保険事業に携わってもいない1民間企業が販売目的でむやみに「地盤保証」といって営業行為を行うことは極めてグレーであるという事になります。
そのため、地震など自然災害による地盤沈下などの損害は、いわゆる「地盤保証」や「瑕疵保険」では補えないことになっており、「地震保険」でカバーするしかないと理解していただければと思います。地震保険は新築入居時にお施主様が自ら加入するもので「任意」になります。
火災保険は加入義務がありますが、それにお施主様の選択で付保するか否かを判断いただくものになります。
地震保険は、「地震起因」であれば「火災・損壊・津波・噴火」などによる損害が対象となり、冒頭でお話しした「液状化現象」は地震起因になるものなので、その場合の地盤沈下も当然対象になると考えられます。
2,地盤保証について
次に「地盤保証」についてお話しいたしますが、その前に新築建築時の地盤調査、地盤補強工事などの施工不良により、不同沈下事故が発生してしまった場合、法的には「誰に責任があるか?」をお話しさせていただきます。
建物建築時の地盤に関する判断は、建築基準法及び国土交通省告示1113号にも記載がある通り、住宅設計者が十分な安全を考慮して設計する責任を負わされております。
また、平成20年6月11日の不同沈下事故における和歌山地方裁判所判決でも、住宅設計者の「不法行為責任」、住宅会社の「使用者責任」、その住宅会社の代表者の「不法行為責任」なっており、3,828万円損害賠償となった判例もあります。
(右記URLページ下部に記載:https://zaijubiz.jp/service/)
つまり、お施主目線では、地盤保証の有無を問わず「不同沈下によって損害を与えたのならその施工会社は修復しなければならない」というのが大原則であるということを理解いただければと思います。
本項目の話に戻りますと、本来「地盤保証」というものは、不同沈下事故によってお施主様に与えた損害額を担保するための資金源として施工会社(住宅会社)が加入しておくものだという事をお話ししておきます。
因みに、建築打合せ時に、住宅会社がお施主様に「地盤保証を付けておきますか?どうしますか?」と聞くケースもあるようですが、そもそもお施主様に判断を委ねることではないという事になります。
住宅ではないですが、先日、静岡県掛川市のショッピングセンターで最大14㎝の沈下が確認され、休業・閉店となったニュースがありました。
大手ハウスメーカーが施工した建物という事ですが、支持地盤まで改良杭が届いてなかったとの報道内容からすると、これは地盤改良工事の設計判断ミスと推測ができます。
このケースで言いますと、仮に地盤保証に入ってなかったとしてもショッピングセンターの事業主は施工会社に賠償請求ができることになりますので、当該ハウスメーカーは責任を持って修復する責任があるという事になります。
▽参照記事はこちら
https://news.yahoo.co.jp/articles/2799eb297295deef5bf55f341a3ae2d4ceba393e
なお、ここでいう「地盤保証」の中でも民間企業の自らの資力による「保証」と、損害保険会社の保険加入による「補償(保険)」に分かれますが、この話は長くなりますので今後のコラムでお話しさせていただきます。
3,住宅瑕疵保険について
最後に「住宅瑕疵保険」についてお話しさせていただきます。
遡ること、平成12年4月に施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(品確法)により、住宅の構造耐力上主要な部分や雨水の浸入を防止する部分の設計ミスや施工ミスによる欠陥(瑕疵)に関して、10年間の保証責任(瑕疵担保責任)を負うことになりました。ただ、この際に施工会社の資金不足や瑕疵が発見された時に施工会社が倒産していた場合など、修復ができない状況の場合、消費者の利益を保護できないことから、平成19年3月「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律」(住宅瑕疵担保履行法)が成立し、平成21年10月以降、住宅事業者は、「新築住宅かし保険」への加入などが義務付けられました。
つまり、住宅瑕疵保険においても施工会社が自らの責任で加入する保険になります。
住宅瑕疵保険は住宅の主要構造部の不具合に関する保険のため、基本的には基礎部より上部が対象で地盤による事故は対象外になります。(但し、近年、地盤事故もカバーできる商品も出てきておりますので、別途ご確認ください。)
冒頭で「地盤ではなく建物自体の施工不良で床が傾いてしまうケース」というお話をさせていただきましたが、まさにこのケースの場合は住宅瑕疵保険の対象になりうる事象かと思われますので、まずは当時の施工会社にご連絡されるのがよいでしょう。
▽参照サイトはこちら
https://www.houseplus.co.jp/hpj/service/sumaihoken/about.html#taisho
4,最後に
「家が傾く」をキーワードにいろんなケースのお話をさせていただきました。
自然災害による損害、施工不良による損害、また、地盤が原因の損害、建物施工が原因の損害など。それらの損害を補うための「保証」や「保険」など。
住まいづくりにはいろんな保険や保証があります。
このほかにも、火災保険、住宅設備保証、建物完成保証など切りがないですが、「家が傾く」のテーマでは、本コラムのケースをご理解いただければ問題ないかと思います。
因みに、在住ビジネスの「建サポ 地盤補償」は、民間企業の自らの資力による「保証」ではなく、大手損害保険会社による「補償(保険)」のため、免責事項も少なく業界トップクラスの地盤補償を提供しておりますので、大変安心ですので、これを機会にご検討してみてください。
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