コラム

建築業界の一般的なお役立ち参考情報を掲載させていただいております。
掲載内容と異なるケースもございますので、関係機関等からの情報も併せてご確認いただければと思います。

切土と盛土の違いは?見分け方と注意点

目次

マイホームの土地探しをしていると、資料に「切土(きりど)」「盛土(もりど)」という言葉が出てきて、「これって何が違うの?」「どちらが安全なの?」と不安に感じていませんか?

人生で一番大きな買い物だからこそ、土地選びで後悔はしたくないですよね。

この記事では、不動産や建築の知識がない方でも理解できるよう、切土と盛土の基本的な違いから、それぞれのメリット・デメリットなど、分かりやすく解説します。

この記事を読めば、ご自身で土地の安全性を判断する知識が身につき、自信を持って土地選びを進められるようになります。

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切土(きりど)と盛土(もりど)とは?造成の基本

まず、家を建てるためには土地を平らにする必要があります。この平らな宅地をつくる工事を「造成(ぞうせい)」と呼びます。切土と盛土は、この造成工事の代表的な方法です。

切土とは?

切土(きりど)とは、山の斜面や丘陵地など、もともと高かった部分の土を削り取って平らにした土地のことです。

イメージとしては、山の一部を切り崩して平地をつくる感じです。切土された土地は、大昔から自然に固められてきた「元々の地盤」がそのまま残っているため、非常に固く安定しているのが特徴です。

盛土とは?

盛土(もりど)とは、逆に谷や窪地、斜面などの低い部分に、他の場所から運んできた土を盛って平らに造成した土地のことです。

低い土地をかさ上げして平地をつくるイメージですね。盛土は、新しく土を盛ってつくられた人工的な地盤のため、締め固めが不十分だと地盤沈下や災害時の崩落リスクが切土に比べて高くなる傾向があります。

切盛土とは?

切盛土(きりもりど)とは、1つの宅地の中に切土の部分と盛土の部分が混在している土地のことです。

斜面地を造成する場合によく見られ、高い部分を削った土(切土)で、低い部分を埋め立てて(盛土)平らにします。この場合、同じ敷地内でも地盤の強さが異なるため、特に注意が必要になります。
 

切土と盛土のメリット・デメリット比較表

切土と盛土、どちらが良い・悪いと一概には言えません。それぞれの特徴を理解するために、地盤の安定性や価格などの観点からメリット・デメリットを比較してみましょう。

地盤の安定性

  • 切土
    もともとの固い地盤であれば、地盤は安定している可能性が高いです
  • 盛土
    人工的に土を盛っているため、締め固めが不十分だと地盤沈下を起こす可能性があります。特に、造成から年数が経っていない盛土や、適切な工法で施工されていない場合は注意が必要です。

災害リスク

  • 切土
    安定した地盤であれば、地盤そのものが崩れるリスクは盛土と比較すると高くないです。ただし、背後に大きな崖や斜面がある場合は、そちらが崩れる「がけ崩れ」のリスクを考慮する必要があります。
  • 盛土
    豪雨や地震によって、盛土自体が崩れたり、液状化したりするリスクがあります。特に、谷を埋めた「谷埋め盛土」は、水の通り道になりやすく、災害リスクが高いとされています。

必要な追加工事と費用

  • 切土
    地盤が強固であれば、基本的に地盤補強工事は不要なケースもあります。ただし、家を建てる前には地盤調査を行う必要がありますので、その結果によっては地盤補強工事が必要になる場合もございます。また、岩盤など地盤が固すぎる場合は、基礎工事の費用が逆に高くなることもあります。
  • 盛土
    上記でも申し上げた通り、家を建てる前には地盤調査が必須です。調査の結果、地盤の強度が不足していると判断された場合は、地盤補強工事が必要となります。これにより、数十万~数百万円の追加費用がかかることがあります。

地盤補強工事の種類

地盤が弱いと判断された場合に行う工事には、主に以下の種類があります。費用は土地の状況や建物の規模によって大きく変動します。

  • 表層改良工法
    地盤の表面から2m程度を固める工法。
  • 柱状改良工法
    地中にコンクリートの柱を何本もつくり、建物を支える工法。
  • 鋼管杭工法
    地中深くの固い地盤まで鋼製の杭を打ち込み、建物を支える工法。

「一般工法」と呼ばれる上記の工法はご存じの方もいらっしゃるかと思います。在住ビジネスではこのほかにも、砕石を用いた工法コンクリートの既製杭を使った工法など、様々な工法を取り扱っております。

 
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土地の見分け方・調べ方【図面・現地・公的資料】

検討中の土地が切土か盛土か、どうやって見分ければよいのでしょうか?ここでは、ご自身でできる「切土・盛土の見分け方・調べ方」を3つのステップで解説します。

図面での見分け方

不動産会社から提示される資料の中に、造成計画に関する図面があれば必ず確認しましょう。

  • 造成計画平面図・断面図
    造成工事の設計図です。図面の中に「切土高(CL)」や「盛土高(FL)」といった記載があれば、どの範囲が切土で、どの範囲が盛土かが一目でわかります。
  • 等高線
    造成前の地形と造成後の地形が描かれた図面では、もともとの等高線よりも造成後の地盤面が高い場所が盛土低い場所が切土と判断できます。

現地での見分け方:擁壁・高低差・排水溝をチェック

実際に土地を訪れて、自分の目で確認することも非常に重要です。

  • 擁壁(ようへき)の有無と状態
    擁壁とは、斜面の土が崩れるのを防ぐための壁のことです。道路や隣地との境界に擁壁がある場合、その土地は盛土であるか、もしくは切土の崖下に位置する可能性が高いです。擁壁にひび割れや膨らみ、傾きがないか、水抜き穴が適切に設置されているかもチェックしましょう。
  • 周辺道路や隣地との高低差
    周囲の土地や道路よりも明らかに土地が高くなっている場合、盛土の可能性があります。逆に、周囲より低い場合は切土の可能性があります。
  • 排水溝や側溝
    盛土の土地は水はけが悪い場合があるため、敷地の周りに排水設備がしっかり整っているかを確認しましょう。

家を建てる際の土地別の注意点

土地の特性を理解したら、次は家を建てる際の注意点を確認しましょう。

切土の土地を選ぶ際のチェックポイント

切土の土地には、いくつか注意点もあります。

  • 水はけは問題ないか?
    切土の地盤は水を通しにくいため、土地の表面に水がたまりやすいことがあります。敷地内の排水計画がしっかりしているか確認しましょう。
  • 擁壁や崖の安全性は?
    隣接して高い擁壁や崖がある場合は、そちらの安全性を確認する必要があります。特に、古い擁壁は現在の基準を満たしていない可能性もあります。
  • 岩盤が出てこないか?
    非常に固い岩盤が地表近くにあると、基礎工事で岩を砕く必要があり、工事費用が想定外に高くなることがあります。

盛土の土地を選ぶ際のチェックポイント

盛土の土地だからといって、一概に危険なわけではありません。以下のポイントを確認し、安全性を確かめることが重要です。

  • いつ造成された土地か?
    造成されてからの期間が長いほど、地盤は自然に締め固まり安定する傾向にあります。造成年が記載された「検査済証」の有無を確認しましょう。
  • どのような工法で造成されたか?
    ローラーなどで適切に締め固め(転圧)が行われているか、造成時の記録で確認できると安心です。
  • 地盤調査の結果はどうか?
    家を建てるなら、地盤調査は必須です。調査結果に基づいて、必要な対策(地盤改良など)を講じれば、安全に家を建てることができます。

切土・盛土に関するよくある質問

最後に、切土・盛土に関してよく寄せられる質問にお答えします。

造成後、何年経てば地盤は安定する?

一概に「何年」とは言えません。 一般的には、造成後、雨や自重によって地盤が落ち着くまで数年かかると言われます。しかし、最も重要なのは経過年数よりも、造成時に適切な締め固めが行われたかどうかです。古い盛土でも、造成方法が悪ければ不安定なままの可能性があります。

盛土の土地でも安全に家は建てられる?

はい、建てられます。 ただし、それには「適切な地盤調査」と「調査結果に基づいた適切な設計・工事(必要な場合は地盤補強工事)」が絶対条件です。現在の建築基準法では、家を建てる前に地盤調査を行い、その土地に合った基礎を設計することが定められています。このルールをしっかり守れば、盛土の土地でも安全な家を建てることは十分可能です。

宅地造成及び特定盛土等規制法(盛土規制法)とは?

盛土規制法とは、危険な盛土などを全国一律の基準で包括的に規制する新しい法律で、2023年5月から施行されました。これは、熱海市で発生した土石流災害などを教訓に、国民の命を守るために作られたものです。この法律により、今後は許可なく危険な盛土を造成することができなくなり、土地の安全性がより確保されやすくなります。
(参考:国土交通省「宅地造成及び特定盛土等規制法(通称「盛土規制法」)について」

まとめ

今回は、土地選びの基本である「切土」と「盛土」について解説しました。最後に、重要なポイントを振り返りましょう。

  • 切土
    元々の地盤を削った土地。
  • 盛土
    土を盛って造成した土地。
  • 見分け方
    図面(造成計画図)、現地(擁壁・高低差)などを組み合わせて確認する。
  • 安全な土地選びの鍵
    盛土だからダメ、切土だから安心と決めつけず、それぞれの特性を理解し、地盤調査の結果に基づいて総合的に判断することが最も重要です。

土地選びは、専門的な知識が必要で不安に感じることも多いでしょう。この記事で得た知識をもとに、不動産会社やハウスメーカーの担当者としっかりコミュニケーションを取りながら、後悔のないマイホーム計画を進めてください。

そして、家を建てる際に必ず必要な地盤調査。在住ビジネスは地盤調査・地盤補強工事を全国対応しております。経験豊富な地盤専門スタッフが対応し、地盤に関する適切な判断をサポートします。

さらに!地盤補償は安心の20年。一般的に擁壁起因の不同沈下は保証対象にならないこともありますが、在住ビジネスの地盤補償は擁壁起因の不同沈下も対象です。

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