コラム

建築業界の一般的なお役立ち参考情報を掲載させていただいております。
掲載内容と異なるケースもございますので、関係機関等からの情報も併せてご確認いただければと思います。

アスベスト届出の知識|レベル別手続き・書類・期限一覧

目次

「アスベスト含有が疑われる建物のリフォームを控えているが、どんな届出が必要なんだろう?」
「手続きが複雑で、どこに何を提出すればいいのか分からない…」

解体・改修工事を計画する中で、アスベストの届出に関する不安や疑問をお持ちではありませんか。アスベスト関連の法律は厳格化しており、正しい手続きを踏まないと、工事の遅延や厳しい罰則につながる可能性があります。

この記事では、アスベスト関連工事の届出について、解説します。

この記事を読めば、アスベストのレベル別に必要な届出の種類、提出書類、提出先、期限などが分かります。 複雑な手続きをスムーズに進め、安全かつ合法的に工事を完了させるための知識を身につけましょう。

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アスベスト届出一覧|レベル・法律別の要否・届出先・期限

アスベスト関連工事で必要な届出は、アスベストの危険度を示す「レベル」と、根拠となる「法律」によって異なります。まずは、ご自身の工事がどれに該当するのか、以下の一覧表で全体像を把握しましょう。

届出の種類

提出必要な
アスベストレベル

法律

提出先

提出期限

備考

事前調査結果報告書 レベル関係なく 大気汚染防止法、石綿障害予防規則 石綿事前調査結果報告システム 作業開始前 一定の条件下で届出必要
特定粉じん排出等作業実施届出書 レベル1・2 大気汚染防止法 都道府県・市町村 作業開始の14日前まで  
建設工事計画届 レベル1(・2) 労働安全衛生法 労働基準監督署 作業開始の14日前まで レベル2の場合、建設業・土石採取業で必要
建築物解体等作業届 レベル1・2 石綿障害予防規則 労働基準監督署 作業開始前 条件によって不要な場合あり

【重要】
レベル3は原則として届出不要ですが、2022年4月1日から、アスベストの有無にかかわらず、一定規模以上の解体・改修工事では事前調査結果の電子報告が義務化されています。詳細は後述します。

アスベストレベルとは

アスベスト飛散の危険性に応じて、各種建材はレベル分けされています。前述の表のとおり、レベルによって解体の際に提出が必要な書類が異なります。

  • レベル1発じん性が著しく高い
    アスベスト含有吹付材 など
  • レベル2:発じん性が高い
    耐火被覆材、断熱材 など
  • レベル3:発じん性が比較的低い
    内装材、床材、外装材 など

主要な届出書類の種類と提出期限

ここでは、主要な届出について、その概要を解説します。

事前調査結果報告書

こちらは、解体・改修工事の前に行ったアスベスト含有があるかどうか事前調査をした結果について届出するものです。以下の規模については石綿事前調査結果報告システムにおいて調査結果を報告する必要があります。

  • 建築物の解体工事(解体作業対象の床面積の合計80 ㎡以上
  • 建築物の改修工事(請負代金の合計額100万円以上(税込))
  • 工作物の解体・改修工事(請負代金の合計額100万円以上(税込))

ここで重要なのは「工事の規模にかかわらず原則として全ての工事において石綿事前調査が必要」ということです。さらに、この事前調査は有資格者が行う必要があります。無資格者が自己判断で事前調査し結果報告書を提出することはできません。

特定粉じん排出等作業実施届出書

レベル1またはレベル2のアスベスト除去工事を行う際に、都道府県・市町村へ提出する書類です。作業による周辺環境へのアスベスト飛散防止措置が適切かどうかを確認するために提出します。

  • 対象工事:特定建築材料(レベル1・2)の除去、封じ込め、囲い込み作業
  • 提出者:元請業者または自主施工者
  • 提出先:管轄の都道府県知事または市町村長
  • 提出期限:作業開始の14日前まで
  • 様式:環境省のウェブサイトや各自治体のウェブサイトからダウンロードできます。
    参考:特定粉じん排出等作業実施届出書(様式第三の四)|環境省

建設工事計画届(様式第21号)

レベル1アスベストの除去工事を行う際に、労働基準監督署へ提出する書類です。工事の計画が、労働安全衛生法や関連規則の基準に適合しているかどうかの審査を受けます。

  • 対象工事:吹付け石綿などの除去工事
  • 提出者:元請業者
  • 提出先:管轄の労働基準監督署長
  • 提出期限:工事開始の14日前まで
  • 様式:厚生労働省のウェブサイトからダウンロードできます。
    参考:労働安全衛生規則関係様式|厚生労働省)

建築物解体等作業届

レベル2アスベストの除去工事を行う際に、労働基準監督署へ提出する書類です。計画届とは異なり、事前の審査はなく、作業の実施を届け出るものです。

  • 対象工事:石綿含有保温材、耐火被覆材などの除去工事
  • 提出者:元請業者
  • 提出先:管轄の労働基準監督署長
  • 提出期限作業開始前
  • 様式:厚生労働省のウェブサイトからダウンロードできます。
    参考:石綿障害予防規則関係様式|厚生労働省)

アスベスト事前調査のご相談は在住ビジネスへ

事前調査結果報告書についてご説明しましたが、石綿事前調査の届出は、原則として元請業者が行う必要があります。しかし、実際の調査は外注することも可能です。

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アスベスト届出の5つの手順

アスベスト関連工事の届出は、事前調査から工事完了後の報告まで、一連の流れに沿って進める必要があります。ここでは、その手順を5つのステップで解説します。

ステップ1:アスベスト事前調査の実施と記録作成

工事に着手する前に、まずアスベストの有無を調査することが法律で義務付けられています。
解体・改修する部分の全ての建材について、設計図書等での確認(書面調査)と、現地での目視調査を行います。書面と目視で判断できない場合は、建材を採取して分析調査を行う必要があります。

調査は専門の資格者(建築物石綿含有建材調査者など)が行う必要があり、調査結果は3年間保存する義務があります。

ステップ2:電子システムによる事前調査結果の報告

2022年4月1日から、前述のいずれかに該当する工事事前調査の結果を電子システムで報告することが義務化されました。アスベストの有無にかかわらず、「石綿事前調査結果報告システム」から報告を行います。

何度も記述しますが、ここで重要なのは「報告システムで届出が不要な場合でも事前調査は必ず行う必要がある」ということです。報告しなくていいから調査もしなくていい、ということではありませんので、注意が必要です。

ステップ3:工事の作業計画作成と届出書類の準備

事前調査の結果、アスベスト含有が確認された場合、そのレベルに応じて作業計画を立てます。
作業計画には、以下の内容を盛り込む必要があります。

  • 作業の方法と順序
  • アスベストの飛散防止対策(作業場の隔離、湿潤化など)
  • 作業員の保護具の使用
  • 除去したアスベストの処理方法

この作業計画に基づき、必要な届出書類(特定粉じん排出等作業実施届出書、建設工事計画届など)を作成します。

ステップ4:管轄行政機関への届出書提出

作成した届出書類を、定められた期限内に管轄の行政機関へ提出します。

  • 都道府県・市町村:大気汚染防止法に基づく届出
  • 労働基準監督署:労働安全衛生法・石綿障害予防規則に基づく届出

ステップ5:作業完了後の発注者への報告

アスベスト除去工事が完了したら、元請業者は作業内容の記録を作成し、その結果を発注者へ書面で報告する義務があります。この報告書も3年間保存する必要があります。

アスベスト届出に関するQ&A

最後に、アスベストの届出に関してよく寄せられる質問にお答えします。

Q. 届出を怠った場合の罰則は?

A. 届出を怠ったり、虚偽の届出をしたりした場合は、法律に基づき厳しい罰則が科せられます。

  • 特定粉じん排出等作業実施届出書の未提出・虚偽記載:3ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金
  • 建設工事計画届の未提出・虚偽記載:6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金

Q. コア抜きや穿孔作業での届出は必要か?

A. 小規模な作業であっても、対象となる建材によって判断が異なります。

安易に「小さい作業だから大丈夫」と判断せず、必ず事前調査の結果に基づいて対応を決定してください。不明な場合は、管轄の自治体や労働基準監督署に確認するようにしましょう。

まとめ

アスベスト関連工事の届出は、作業員の安全、周辺環境、そして企業の信頼を守るために不可欠な手続きです。一見複雑に見えますが、ポイントを押さえれば正しく進めることができます。

  • 最重要:まずはアスベストの事前調査を徹底し、レベルを正確に把握する。
  • 電子報告:一定規模以上の工事では、事前調査結果の電子報告を忘れない。
  • 期限遵守提出期限を守り、余裕を持った計画を立てる。
  • 記録と報告:作業計画や完了報告などの記録を適切に作成・保存する。

この記事を参考に、アスベストの届出を確実に行い、安全な工事管理をしていきましょう。ただし、ここに記載した届出以外にも、解体・リフォームにおいて必要な届出は多くあります。ご紹介した提出書類はあくまでアスベストに関わる一部のものですので、参考にしていただければ幸いです。

「様々な届出・作業が必要な中で、石綿事前調査まで手が回らない」
「社内に石綿事前調査の有資格者がいない」

そういった声にお応えし、在住ビジネスでは石綿事前調査を承っております。全国対応で、中規模・大規模物件も承ります。詳細はこちらからご確認、お問い合わせください。

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