今回も、過去の地震の被害状況や対策について記載していきます。前回のテーマは熊本地震でしたが、今回は能登半島地震について解説していきます。
2024年1月1日に発生した令和6年能登半島地震は、石川県能登地方を中心に甚大な被害をもたらしました。最大震度7を観測したこの地震は、多くの尊い命を奪い、家屋の倒壊やインフラの寸断など、今なお被災地に深い爪痕を残しています。
この記事では、ニュースなどで断片的に報じられる被害情報について、「結局、全体としてどのような状況なのか?」という疑問をお持ちの方のために、人的被害や建物被害、地域別の状況、インフラの復旧見通しなどをまとめました。
信頼できる公的機関の発表に基づき、能登半島地震の被害の全体像を分かりやすく解説します。

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目次
能登半島地震の被害状況
まず、能登半島地震による被害の全体像を、最新のデータに基づいて確認しましょう。特に人的被害と建物被害は深刻な状況となっています。
人的被害の最新情報(死者・負傷者数)
今回の地震による死者数は672人(うち災害関連死444人)にのぼります。また、負傷者数は1,407人(重傷者980人、軽傷者1,405人)と報告されています。(2025年10月15日時点)
地震の直接的な影響だけでなく、避難生活での体調悪化などによる「災害関連死」も含まれており、被害の深刻さを物語っています。
(参考:内閣府「令和6年能登半島地震による被害状況等について」)
建物被害の最新情報(全壊・半壊棟数)
家屋の被害も甚大です。
- 全壊
6,536棟 - 半壊
23,693棟 - 一部破損
135,122棟
特に被害の大きかった輪島市や珠洲市では、多くの建物が倒壊し、街の風景が一変してしまいました。耐震基準が強化された1981年以降に建てられた比較的新しい木造住宅でも倒壊するケースが確認されており、強い揺れのすさまじさを物語っています。
(参考:内閣府「令和6年能登半島地震による被害状況等について」)
建築年代別の木造建物被害状況
国交省の発表によると、建築年代別の倒壊・崩壊の割合は以下のようになっています。
| 倒壊・崩壊(棟) | 大破(棟) |
軽微・小破・中破(棟) |
無被害(棟) | |
|---|---|---|---|---|
| 1981年以前 | 662(19.4%) | 676(19.8%) | 1,644(48.2%) | 426(12.5%) |
| 1981年~2000年 | 48(5.4%) | 103(11.5%) | 505(56.6%) | 237(26.5%) |
| 2000年以降 | 4(0.7%) | 8(1.3%) | 198(32.6%) | 398(65.5%) |
| 木造全体 | 714(14.5%) | 787(16.0%) | 2,347(47.8%) | 1,061(21.6%) |
※2000年以降倒壊・崩壊した4棟のうち、3棟は壁量不足または壁配置の釣り合いの規定を満たしていないことを確認
数十年かけて耐震基準は段階的に厳しくなっています。特に、接合部等の使用が明確化された2000年以降の建物では被害が少なかったことが分かっています。
(参考:国土交通省「令和6年能登半島地震の建築物構造被害について」)
未曾有の地震への備え「wallstat」
上記のように、比較的新しい建物は被害が少なかったことが分かっています。しかし、地震は想像もできない規模で、何回も起こり得るものです。こうした巨大地震への備えとして「wallstat」をご紹介します。
wallstatとは、パソコン上で振動台実験を再現することができ、「建てる前に揺らす」ことで視覚的に確かな安心を得ることができるソフトです。繰り返し地震波を与えて建物を揺らすことができますので、「住み続けられる」木造住宅の設計において、非常に有効な手段です。
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ライフライン・インフラの被害と復旧
地震は、道路、水道、電気といった私たちの生活に欠かせないライフラインにも大きな打撃を与えました。
道路の寸断・通行止めと復旧状況
地震直後、能登半島では国道249号線をはじめとする主要な道路が、土砂崩れや亀裂によって各地で寸断され、多くの集落が孤立状態に陥りました。
自衛隊や国土交通省による懸念の復旧作業が進められましたが、現在もなお規制が続く区間が残っています。本格的な復旧には長期間を要する見込みです。
水道の断水状況と復旧見通し
奥能登地域を中心に、広範囲で深刻な断水が発生しました。取水施設や浄水施設といった基幹施設が壊滅的な被害を受けた石川県内では、一時の約11万戸で断水し、住民は給水車に頼る不便な生活を強いられました。
電気の停電状況と復旧見通し
地震発生直後、石川県内では最大で約4万戸が停電しました。
道路の寸断により復旧作業は困難を極めましたが、北陸電力による懸命な作業の結果、電気についてはほぼ全ての地域で復旧が完了しています。
津波・火災・土砂災害の二次被害
今回の地震では、揺れそのものだけでなく、それに伴う二次災害も大きな被害をもたらしました。
津波による浸水被害の範囲
気象庁は地震発生直後、能登地方に大津波警報を発表しました。
石川県の調査によると、珠洲市、能登町、輪島市の沿岸部で津波による浸水が確認されています。特に珠洲市では最大5mを超える津波が到達した可能性が指摘されており、沿岸の集落に大きな被害を与えました。また、地震による地盤の隆起で海岸線が大きく変化した場所もあります。
輪島朝市の大規模火災の状況
輪島市の中心部で発生した火災は、地震による二次災害として最も被害が大きかったものの一つです。
観光名所「輪島朝市」を含む一帯が焼け野原となり、約200棟以上の建物が焼失しました。密集した木造家屋や断水による消火活動の遅れが、被害を拡大させる要因になったとみられています。
土砂災害の発生箇所と危険区域
能登半島では、今回の地震で400件以上の土砂災害が確認されています。
特に輪島市や穴水町、能登町などの山間部で多くの土砂崩れが発生し、住宅や道路に被害が及びました。今後雨量が増えるとさらなる土砂災害発生の危険性あり、現在は災害復旧関係車両のみに通行が限られている箇所も存在しており、警戒が続いています。
復興に向けた動き
能登半島地震からの復旧・復興は、息の長い取り組みとなります。被災された方々の生活再建、インフラの復旧、産業の活性化など、多岐にわたる課題に取り組む復興の歩みは、決して平坦ではありません。しかし、この未曾有の災害から得られた能登半島地震からの教訓を活かし、より強靭で持続可能な地域社会を築き上げていくことが重要です。
復興の歩み
能登半島地震からの復興は、被災された方々の生活再建と地域経済の活性化を両輪として進められています。
地震によって甚大な被害を受けた地域では、住居の再建、インフラの復旧、なりわいの再生が喫緊の課題です。これらの課題に対し、国や自治体、そして多くの支援団体が連携し、様々な支援策が講じられています。
例えば、住宅の再建支援として、被災者向けグループ補助金や災害公営住宅の整備が進められています。また、道路や水道などのインフラ復旧も急ピッチで進められており、地域経済の活性化に向けて、観光客誘致や地場産業の振興策も実施されています。
復興への道のりは長く険しいものですが、被災地の皆様が一日も早く平穏な生活を取り戻せるよう、継続的な支援が不可欠です。
能登半島地震からの教訓
地震の規模や津波の発生といった自然現象の脅威を改めて認識し、ハード・ソフト両面からの対策強化が不可欠です。具体的には、建物の耐震化促進や避難経路の確保、早期警報システムの改善などが挙げられます。また、地域住民への防災教育や訓練の徹底も重要です。
今回の地震では、インフラの脆弱性や情報伝達の遅れなどが課題として浮き彫りになりました。これらの教訓を踏まえ、災害に強い社会基盤の整備と、迅速かつ正確な情報伝達体制の構築が求められます。
能登半島地震の経験を活かし、将来起こりうる災害に備え、被害を最小限に抑えるための対策を講じることが、私たちに課せられた重要な使命です。
まとめ
令和6年能登半島地震は、石川県能登地方を中心に、人的、物的、そして経済的に甚大な被害をもたらしました。
- 人的被害:死者600人以上、負傷者は1400人以上
- 建物被害: 全壊・半壊合わせて約3万棟
- 二次災害: 津波、大規模火災、土砂災害が被害を拡大
- 復興: 継続的な支援が不可欠
今もなお不自由な生活を送っている被災者の方々がいらっしゃいます。この記事を通じて、能登半島地震の被害の全体像を正しく理解し、被災地の現状に関心を持ち続けていただく一助となれば幸いです。
また、今後建築予定の住宅の耐震性能については「wallstat」による検証をおすすめします。パソコン上で振動台実験を再現することで耐震性能を見える化が可能です。
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