1.「倒壊しない住まい」から「住み続けられる住まい」へ
令和6年1月1日16:10に発生した「令和6年能登半島地震」から1年が経ちました。
未だ進まぬ復旧・復興作業の中、住まいを失い生まれ育った地に帰れぬ被災者の方々が多く見られます。また、昨年8月には宮崎県で震度6弱の揺れを観測(マグニチュード7.1)し、南海トラフ地震の想定震源域で大規模地震への注意を呼びかける臨時情報が発表され、2024年は改めて迫りくる大地震に備える警戒意識が高まった年だったと感じます。
建築基準法の最低基準では「極めて稀に発生する地震に対して損傷(倒壊)しない」ことを目標としてます。これは建築基準法制定のきっかけとなった1948年福井地震以降から「建物倒壊による圧死」を防ぐことが原点になります。その後、多くの大地震を経験してきた現代においては、もう一つの課題が見えてきました。
「命は助かったが住む家が無い」
建築に携わる私たちは、今後「倒壊しない住まいづくりから住み続けられる家づくり」へと対策を講じていく必要があります。
▽地震対策の検証は「建サポ wallstat入力・検証代行」でご相談を。
https://zaijubiz.jp/service/wallstat/
2.能登半島地震の概要 地震は繰り返し来る
能登半島地震の概要
①発生日時:令和6 年1月1日16:10
②震源及び規模(暫定値)
場所:石川県能登地方(北緯37.5 度、東経137.3 度)
規模:マグニチュード7.6(暫定値)
震源の深さ:16km(暫定値)
③各地の震度(震度5強以上)
【石川県】
震度7 志賀町、輪島市
震度6強 七尾市、珠洲市、穴水町、能登町
震度6弱 中能登町
震度5強 金沢市、小松市、加賀市、羽咋市、かほく市、能美市、宝達志水町
【新潟県】
震度6弱 長岡市
震度5強 新潟中央区、新潟南区、新潟西区、新潟西蒲区、三条市、柏崎市、見附市、燕市、糸魚川市、妙高市、上越市、佐渡市、南魚沼市、阿賀町、刈羽村
【富山県】
震度5強 富山市、高岡市、氷見市、小矢部市、南砺市、射水市、舟橋村
【福井県】
震度5強 あわら市
地震活動の状況
2024年1月1日16:06の最大震度5強の地震以降、2024年12月24日11時00分時点までの震度1 以上を観測した地震は、合計2119 回。
内訳は、震度7:1回、震度6強:0回、震度6弱:2回、震度5強:9回、震度5弱:8回、震度4:50回、震度3:190回、震度2:535回、震度1:1324回となります。
※2024年12月24日時点「内閣府非常災害対策本部」による資料より引用
地震による報道は、初回の最大震度を強調する内容が多いですが、能登半島地震では1年間で震度3~震度6弱の余震が259回も起きていることに注目してほしいと思います。
もしも、最初の大きな地震で建物が何らかのダメージを受けていたら。
その後、何度も繰り返しの余震のダメージが蓄積したら。
人命第一の倒壊しない住まいづくりは、今や当たり前の最低条件。
「地震は繰り返し来る」
2025年4月には、ついに40年ぶりの建築基準法改正で壁量基準が変更になり、耐震性能は高くなると言われています。
建物はどんどん固く固く設計されるようになりますが、本当にそれだけで良いのか?
計算上大丈夫でも、繰り返しの地震に耐えられるのか?
設計者なら誰もが抱えるこんな不安は、「倒壊シミュレーションソフトwallstat(ウォールスタット)」なら解消できるかもしれません。
▽繰り返し地震のwallstat耐震等級別検証の動画(約2分)
https://youtu.be/qtNK2l9Dlpc
3.繰り返しの地震検証 wallstat(ウォールスタット)に可能性
はじめに申し上げますが、wallstatは大変精度の高い倒壊シミュレーションソフトではありますが、有償ソフトではなく、誰でもダウンロード可能な無償ソフトです。
▽wallstatソフトダウンロード
https://support.wallstat.jp/wallstat5s-download/
▽wallstat入力検証代行に関するお問い合わせ
https://zaijubiz.jp/contact/
※在住ビジネスは、(一社)耐震性能見える化協会の事務局としても活動してます。
開発者の中川貴文氏(京都大学准教授)は、平成25年4月から国土交通省国土技術政策研究所に在籍しており、そのころから研究を重ねて開発したソフトです。国からも大変信頼が高いものになります。
一般的には、実際の地震に耐えられるかどうかの検証は、兵庫県の実験施設E-ディフェンスなどで、実大振動台実験が行われることが有名です。当然、1億円規模の費用が掛かる大掛かりなものになります。
wallstatは、簡単に言うとこの高額かつ大掛かりな実験をパソコン上で無料検証が行えるものであると理解いただければと思います。
柱、梁、耐力壁の入力は勿論、接合金物情報から余力として見られる外壁材の数値まで計算されて結果を導くもので、各部材の実験データ情報をもとにシミュレーションするため、構造計算や壁量計算では表せない各仕様部材の「粘り強さ」の部分まで表現可能となっております。
更に、実際の地震波で繰り返し揺らして設計上の問題点を見える化することが可能となっております。詳しくは下記の動画でご確認ください。
▽wallstat紹介動画
https://youtu.be/cGV9tEs_8Vk
▽制震ダンパーの効果検証も可能
https://youtu.be/XUFdiWHPBAY
このように、設計の過程でwallstatを活用して「建てる前に揺らす」ことができれば、予め設計段階で実際の地震に耐えうる構造確認ができると言えます。阪神大震災、東日本大震災、熊本地震、能登半島地震など記憶に残る大地震を経て、震災後の「被災者の住まい」の課題を私たちはたくさん見てきました。今年の建築基準法改正に合わせて更にプラスアルファの「住み続けられる住まい」の提案を業界全体が考えていく必要があるのではないでしょうか。
倒壊シミュレーションソフト「wallstat(ウォールスタット)」は、今後の住まいづくりのスタンダードになるかもしれません。