「地盤保証を付けていたのに、何で保証されない?」
住宅関連事業に携わっていると、こんなことはありませんでしたか?
本コラムでは、住宅事業者様向けに「地盤保証の注意点」をわかりやすくお話ししたいと思います。
保証会社によって保証内容も様々なので、よく理解して採用しないと「地盤保証を付けていれば安心」という訳にはいかない大変な事態にもなりかねません。
注意すべきは「免責事項」です。主なポイントをお伝えします。
1.そもそも地盤保証は、なぜ必要?
やっとの思いで手に入れた新築住宅。地震が起きたわけでもないのに年々家が傾いてきている。このように外的要因もないのに建物荷重によって家が沈下していくことを「不同沈下(ふどうちんか)」と言います。
これは、建物基礎下の地盤が軟弱なために建物が沈下を起こし、建物が均一ではなく一方に偏って傾斜し、建物に影響を及ぼす現象になります。
盛土の締固め不足や軟弱地盤の圧密沈下などが原因で起こります。
建物が傾斜すると、基礎にヒビが入ったり、窓やドアの開閉が困難になるなどの問題が発生し、放っておくと建物そのものの強度が下がり危険な状態となり、重大な瑕疵になります。
では、「瑕疵保険で対応しよう」と思っても、基礎下部分による事故は、基本的には瑕疵保険では対応できません。(地盤特約などの場合を除く) また、沈下の原因は住宅会社及びその設計者の責任となるため、通常は地盤保証に入っておくことがスタンダードになっています。
※不同沈下の被害状況
2.地盤保証の注意点①「沈下の傾斜度合(傾斜角)による免責」
「建物が沈下しても傾斜角が〇/1000以上にならないと保証金が支払われない」
一般的には、地盤保証書の裏面の免責事項に、「3/1000」「5/1000」など、これ以上傾かないと保証対象にならない旨の記載があるケースが見受けられます。
傾斜角とは、「沈下した深さ/水平距離」(水平面からの傾きの角度)のことを指します。例えば、水平面10mに対して5cmの沈下の場合、「5/1000の傾斜角」と言います。
一般的には、3/1000前後で入居者は沈下に気付き出すと言われています。
例えば保証書に「傾斜角5/1000以上にならないと免責事項です」という記載がある場合は、そこまで傾くのを待って住み続けないと保証が下りないという事になりますが、沈下は時間をかけてゆっくり進むことが多いため、傾いた家に暫く住み続けなければならないという事になり、トラブルになる要因となっております。
3.地盤保証の注意点②「擁壁が原因の不同沈下は免責」
「擁壁が原因で家が傾いたら、保証金が支払われない」
擁壁の老朽化、施工不良により擁壁が倒壊する危険性もあります。
その影響により、建物も不同沈下する場合がありますが、保証会社によっては、免責事項に該当し、保証対象外になる場合がありますので注意が必要です。
本来、新築時の地盤調査・補強工事は擁壁がある事を前提とした設計をしなければならず、擁壁が原因で家が傾くという事は、住宅建築時の設計において不備があったという事になります。判例では住宅設計者の不法行為責任となった事例もあるぐらいのことになります。
擁壁関係の沈下事故は多いので、利用の際にこの辺は保証会社に確認しておくことをお勧めします。
4.地盤保証の注意点③「非住宅は保証対象外(無保証状態の危険性)」
「商業施設・店舗・アパートは、保証対象外のため無保証状態のリスク」
一般的な地盤保証は、基本的には「住宅」限定の場合が多くなっております。
大きな建物ほど、沈下した時の修正工事費用は高額になります。非住宅物件の沈下修正工事には数千万円単位の費用が発生する場合がありますので、無保証状態のリスクを理解した上で、保証内容の再確認をお勧めいたします。
最近でも大型商業施設の沈下事故が話題になり、賠償請求に発展している事例が発生しました。保証の有無に関わらず事業者には設計者責任などの法的なリスクがついて回りますので、大変重要なポイントかと思います。
▽参照記事はこちら
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00154/02270/
5.最後に
本コラムでは、不同沈下事故の怖さと合わせて、地盤保証の注意点を述べさせていただきました。沈下事故は極めて稀に起きるものなので、あまり気にされていない方も多いかもしれませんが、発生した時はお施主様にとっても、それを対応する従業員にとっても、精神面で大変な苦労をされるケースを見てきました。
また、中小工務店では経営が傾いてしまうような高額な費用が発生することがあります。その時初めて、保証内容を見直すのではなく、事故が起きる前に現在の保証内容を見直してみてはいかがでしょうか?
在住ビジネスの「建サポ 地盤補償」は、大手損害保険会社のPL保険によって、本コラムに記載した免責事項を全てカバーできる内容になっております。業界トップクラスの補償内容になりますので、これを機会にご検討いただけると幸いです。
※在住ビジネスの補償は、民間企業の「保証」ではなく、大手損害保険会社の保険によるもののため「補償」の表記とさせていただいております。
▽地盤保証でお困りの方は「建サポ 地盤補償」をご確認ください。
https://zaijubiz.jp/service/jibanhoshou/
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