地盤改良工事において、セメント系固化材の使用は一般的ですが、それに伴う「六価クロム」の発生リスクについて、ご存じでしょうか?
「六価クロムって何?」「どんなリスクがあるの?」「どのような対策があるの?」
このような疑問や不安を抱える現場監督や設計担当者の方も少なくないでしょう。この記事では、地盤改良における六価クロム問題の基本や対策など、専門知識がない方にも分かりやすく解説します。
この記事を読めば、六価クロムのリスクを正しく理解し、安心して地盤改良工事を進めるための知識が身につきます。

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目次
地盤改良で六価クロムが問題になる理由
まず、なぜ地盤改良工事で「六価クロム」が問題視されるのか、その根本的な理由から見ていきましょう。原因は、地盤改良で広く使われるセメント系固化材にあります。
六価クロムとは?有害性と三価クロムとの違い
そもそも六価クロムとは、クロムという金属元素の一種で、非常に強い酸化作用を持ち、人体にとって有害な特定有害物質です。自然界にはほとんど存在しません。
一方で、同じクロムでも「三価クロム」は、人体の必須ミネラルであり、毒性は低いとされています。
地盤改良で問題となるのは、この有害な「六価クロム」です。強い毒性を持ち、発がん性物質としても知られているため、土壌や地下水へ溶け出すと深刻な環境汚染を引き起こします。
セメント系固化材が六価クロムの発生原因
地盤改良で六価クロムが発生する主な原因は、セメント系固化材の使用にあります。
セメントの原料には、もともと無害な三価クロムが含まれています。セメントは水と混ざると水和反応を引き起こし、水和物の中に六価クロムが閉じ込められます。そのため、基本的には六価クロムは溶出しません。
ですが、地盤改良の際にセメントと粘土鉱物や有機物などの土粒子の種類によって水和反応が弱まることがあります。その弱まったときに水和物の中にあるはずの六価クロムが溶出します。
特に、火山灰質粘性土(ローム土)のような特定の土質では、この反応が促進されやすいことが知られています。
土壌汚染対策法における位置づけと基準値
六価クロムは、「土壌汚染対策法」において特定有害物質に指定されており、厳しい基準が設けられています。地盤改良工事においては、主に以下の基準値が重要となります。
- 土壌溶出量基準
0.05mg/L以下。土壌から地下水などに溶け出す有害物質の量に関する基準です。地盤改良で最も重視されるのがこの基準です。 - 土壌含有量基準
250mg/kg以下。土壌そのものに含まれる有害物質の量に関する基準です。
これらの基準値を超えた土壌は「汚染土壌」と見なされ、法律に基づいた適切な措置が求められます。
(参考:環境省「土壌汚染対策法について」)
六価クロムによる土壌汚染のリスク
六価クロムには、具体的にどのようなリスクがあるのでしょうか。環境への影響から経済的な損失まで、その影響は多岐にわたります。
人体や周辺環境への影響と毒性
六価クロムは、皮膚に付着するとアレルギーや皮膚炎を引き起こすほか、吸引すると呼吸器系の障害や肺がんのリスクを高めることが知られています。
汚染された土壌から六価クロムが地下水に溶け出し、周辺の井戸水や河川を汚染した場合、人の健康や生態系に深刻なダメージを与える可能性があります。一度発生した汚染は、簡単には元に戻せません。
法令違反による行政指導や罰則
土壌汚染対策法に違反した場合、都道府県知事から汚染の除去などを命じる「措置命令」が出されることがあります。この命令に従わない場合、罰則(懲役や罰金)が科される可能性もあります。
企業の社会的責任(CSR)が問われる現代において、法令違反は金銭的な損失だけでなく、企業のブランドイメージや信頼を大きく損なうことにつながります。
地盤補強工事における対策は?
住宅建築において、セメントを用いた地盤補強工事は非常にポピュラーなものになっています。ここまで、セメント系固化材と六価クロムの関係性や、六価クロムのリスクについて記述してきましたが、どのような対策が行われているのか解説します。
六価クロム溶出低減型の固化材使用
セメントを使用する工法では、六価クロムの溶出を抑えた六価クロム溶出低減型の固化材を使用している場合が多くあります。
「セメントを使った地盤補強工事を行う予定だが、六価クロムは問題ないのだろうか」とご不安な場合は、どのような固化材を使用予定かご確認いただくとよろしいかと思います。
六価クロムが発生しない工法で対応する
それでもセメントを使う工法に不安を抱く方もいらっしゃるかと思います。そのような場合は、セメント系固化材を使用しない地盤改良の工法を取り入れることも対策として挙げられます。セメントを使用しない工法として、いくつか例を挙げさせていただきます。
- 小口径鋼管回転圧入工法
鋼鉄製の杭を回転させながら地中に圧入する工法 - 木杭を使用した工法
防腐・防蟻処理された木の杭を使用した工法 - 砕石を使用した工法
小さく砕いた石を使用した工法
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まとめ
今回は、地盤改良における六価クロム問題について、その原因からリスク、具体的な対策までを網羅的に解説しました。
最後に、この記事の重要なポイントを振り返ります。
- 六価クロムは有害物質
セメントと特定の土が反応して発生し、土壌汚染対策法で規制されている。 - 汚染リスクは甚大
環境や健康への影響に加え、法令違反のリスクがある。 - 対策することも可能
六価クロム低減型セメントの使用や、セメントを使用しない工法を検討するなどの対策ができる。
この記事で得た知識を活用し、適切なリスク管理を行うことで、安全で信頼性の高い地盤改良工事を実施できるでしょう。
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