コラム

建築業界の一般的なお役立ち参考情報を掲載させていただいております。
掲載内容と異なるケースもございますので、関係機関等からの情報も併せてご確認いただければと思います。

【過去の地震を振り返る】①東日本大震災の被害状況と対策

目次

昨年8月、宮崎県で震度6弱を観測した地震を受けて「南海トラフ地震臨時情報」が気象庁から発表されました。そこから1年と少しが経過し、皆さんの地震に対する意識はいかがでしょうか。

ここから数回のコラムでは、過去の地震を振り返りながら、これから起こるであろう地震に備えてできることは何かを一緒に考えていきたいと思います。今回は「東日本大震災」を振り返ります。 

2011年3月11日に発生した東日本大震災は、日本の観測史上でも最大規模の地震であり、未曾有の被害をもたらしました。この記事では、東日本大震災の被害の全体像を分かりやすく理解できるよう、具体的なデータを一覧で解説します。

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東日本大震災の概要(発生日時・震源地・規模)

まず、東日本大震災を引き起こした地震そのものの基本的な情報から確認します。この地震は、日本の観測史上最大の規模でした。

発生日時:2011年3月11日14時46分

東日本大震災のきっかけとなった地震は、2011年3月11日(金)の午後2時46分に発生しました。多くの人が学校や職場で過ごしている時間帯に、激しい揺れが東日本全域を襲いました。

震源地と震源の深さ

地震の震源地は、宮城県の牡鹿半島の東南東約130kmの太平洋の海底でした。震源の深さは約24kmと推定されています。この地震は、太平洋プレートが北米プレートの下に沈み込む場所で発生した、プレート境界型の巨大地震です。

地震の規模(マグニチュード)

地震の規模を示すマグニチュード(Mw)は9.0と記録されました。これは、日本国内で観測された地震としては史上最大であり、世界でも20世紀以降で4番目に大きな規模の巨大地震(※地震発生当時)でした。この強大なエネルギーが、後の甚大な津波被害につながりました。
(参考:気象庁「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」について

死者・行方不明者数の被害一覧

東日本大震災では、地震の揺れ、そして特に巨大な津波によって、極めて多くの方が犠牲となりました。ここでは、人的被害の全体像を数値で見ていきます。

死者・行方不明者・震災関連死の総数

警察庁および復興庁の発表によると、東日本大震災による死者・行方不明者、そして震災関連死の人数は以下の通りです。

  • 死者数
    15,900人(2025年2月末時点)
  • 行方不明者数
    2,520人(2025年2月末時点)
  • 震災関連死者数
    3,808人(2024年12月末時点)

震災関連死」とは、地震や津波の直接的な被害で亡くなったのではなく、その後の避難生活における体調悪化や過労、医療体制の逼迫などが原因で亡くなった方々を指します。これらすべてを合わせると、震災による犠牲者は2万2,000人を超え、極めて甚大な人的被害であったことが分かります。
(参考:警察庁「東日本大震災について」復興庁「震災関連死の状況」

【都道府県別】死者・行方不明者数の一覧表

被害は特に東北地方の沿岸部に集中しました。中でも被害が大きかった岩手県、宮城県、福島県の死者・行方不明者数は以下の通りです。

都道府県死者数行方不明者数合計
宮城県9,544人1,213人10,757人
岩手県4,675人1,107人5,782人
福島県1,614人196人1,810人

※2025年3月警察庁発表データに基づく

各地の震度一覧

マグニチュード9.0という巨大地震は、東北地方を中心に非常に強い揺れをもたらしました。

最大震度7を観測した地域

この地震で最大震度7という最も激しい揺れを観測したのは、宮城県栗原市でした。震度7は、立っていることができず、固定していない家具のほとんどが移動・転倒し、建物にも大きな被害が出るほどの揺れです。

【都道府県別】最大震度の一覧表

東北地方から関東地方の広い範囲で、震度6強から5弱の強い揺れが観測されました。

都道府県最大震度主な観測地点
宮城県震度7栗原市
福島県震度6強いわき市、須賀川市、白河市など
茨城県震度6強日立市、鉾田市、筑西市など
栃木県震度6強大田原市、宇都宮市、真岡市など
岩手県震度6弱大船渡市、釜石市、盛岡市など
群馬県震度6弱桐生市、渋川市
埼玉県震度6弱宮代町
千葉県震度6弱成田市、印西市、旭市など
東京都震度5強東京23区、町田市など
神奈川県震度5強横浜市、川崎市

(参考:気象庁「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」

津波の高さと被害

東日本大震災の被害を最も甚大なものにしたのは、地震の後に発生した巨大な津波でした。

各地で観測された津波の高さ一覧

気象庁の発表によると、東北地方の沿岸部には10mを超える巨大な津波が到達しました。

観測地点津波の高さ
岩手県大船渡市16.7m以上
岩手県宮古市8.5m以上
宮城県石巻市8.6m以上
宮城県気仙沼市7.2m以上
福島県相馬市9.3m以上
茨城県大洗町4.0m

※「以上」とされているのは、津波が検潮所の観測範囲を超えたことを示します。

遡上高(そじょうこう)の記録

遡上高(そじょうこう)」とは、津波が陸地に到達し、斜面などを駆け上がった最も高い地点の高さのことです。津波そのものの高さよりも、地形によってはさらに高くなることがあります。

この震災では、国内観測史上最大となる40.5mという驚異的な遡上高が記録されました。これはビル10階以上に相当する高さであり、津波のエネルギーがいかに凄まじかったかを示しています。
(参考:内閣府「防災情報のページ」

建物の被害状況

人的被害だけでなく、建物や社会インフラ、そして日本経済全体にも深刻なダメージを与えました。

住宅の全壊・半壊棟数

消防庁のまとめによると、住宅の被害は以下の通りです。

  • 全壊
    129,391棟
  • 半壊
    265,096棟
  • 一部破損
    743,298棟

全壊した建物は約13万棟となっておりますが、そのうちの約12万棟が津波によるものだったと言われています。一方で、地震動により被災した建物の建築年度を調べると、旧耐震基準で設計された建物に被害が多かったことがわかっています。
(参考:消防庁「東日本大震災 記録集」

※新耐震・旧耐震基準については、是非こちらのコラムをご確認ください。
コラム:新耐震と旧耐震の違いは?見分け方と基準はいつからか解説

被害を踏まえた対策

東日本大震災後、海岸に沿って防潮堤が新設されたり、集団で集落を移動したりなど、津波による被害を抑える様々な対策がとられています。

では、地震動による建物の被害を抑えるためにはどのようなこと対策がなされているのでしょうか。

東日本大震災以降も様々な地震によって建物倒壊の被害がありました。それらを踏まえて、2025年4月に建築基準法が改正され、いわゆる4号特例が縮小されました。新築住宅においては耐震性能のベースアップがなされています。

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東日本大震災に関するQ&A

最後に、東日本大震災に関してよくある質問にお答えします。

正式名称は「東北地方太平洋沖地震」?

はい、気象庁が命名した地震の正式名称は「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」です。一方で、この地震によって引き起こされた津波や原発事故などを含む災害全体の名称として、政府が「東日本大震災」と閣議決定しました。一般的には「東日本大震災」や「3.11」という呼称が広く使われています。

まとめ

この記事では、東日本大震災の被害について、死者数、震度、津波などのデータを一覧で解説しました。

  • 発生日時
    2011年3月11日 午後2時46分
  • 地震の規模
    マグニチュード9.0(国内観測史上最大)
  • 最大震度
    宮城県栗原市で震度7
  • 建物被害
    全壊が約13万棟。うち12万棟が津波によるもの。

東日本大震災は、私たちに自然災害の恐ろしさと、日頃からの備えの重要性を改めて教えてくれました。この甚大な被害の記録を風化させることなく、未来の防災に活かしていくことが、私たち一人ひとりに求められています。

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