2025年の法改正によって4号特例が大きく変わります。在住ビジネスが過去行ったセミナーでは四号特例縮小について取り上げました。前回のコラムからセミナーの内容を振り返る形でお届けしておりますが、本コラムでは仕様規定がどのように変わったのか解説します。
1,4号特例縮小に伴う仕様規定の変更点とは
まず仕様規定の変更点からお話します。大きく変わる点は壁量係数と柱の必要小径です。
かつては軽い屋根か、重い屋根の2択で壁量係数が決められていました。ですが日々の技術の進歩によって屋根や外壁も多種多様となりました。更にそこへZEH住宅も普及したことに伴い、太陽光発電を搭載するケースも増えてきました。
上記により、屋根の仕様や外壁の仕様、各階の面積、太陽光の有無を考慮し、計画における必要壁量と柱の必要小径を求め、耐力壁を配置する必要が出てきました。
2,必要壁量を求める方法
では次に必要壁量を求める方法について見ていきましょう。必要壁量を求める方法は大きく2つの方法があります。
①早見表を使う方法
1つ目は早見表を使う方法です。早見表は日本住宅・木材技術センターから公開されており、太陽光発電設備の有無を選んでから階高、1階と2階の面積の比毎にそれぞれ用意されています。屋根の仕様3種、外壁の仕様5種の組み合わせから算出が可能です。
②表計算ツールを使う方法
2つ目は表計算ツールを使う方法です。こちらも早見表と同様に日本住宅・木材技術センターからExcelシートが公開されています。主な入力方法としては1・2階の階高と床面積をそれぞれ入力し、屋根や外壁の仕様を選択します。その後は太陽光発電設備や断熱材の荷重の初期値、もしくは任意で入力していくと各階の床面積に乗ずる数値が算出されます。
いずれも公益財団法人日本住宅・木材技術センターにて公開しているので、ご確認ください。
新しい壁量等の基準(案)に対応した設計支援ツール(案)の公開|公益財団法人日本住宅・木材技術センター(公式ホームページ):
https://www.howtec.or.jp/publics/index/411
3,柱の必要小径を求める方法
次に柱の必要小径を求める方法について解説します。柱の必要小径も壁量係数と同様、屋根や外壁の仕様や各階の面積、太陽光の有無などを考慮し、計画における柱の小径を計算していきます。
計算方法は壁量計算と同様、早見表と表計算ツールと2種類あります。本コラムでは早見表は省略し、表計算ツールでの方法を解説します。表計算ツールでの方法はいずれもチェックボックスにチェックを入れたうえで表計算ツールの項目を入力すると自動的に表示される仕様です。
①算定式と有効細長比より柱の小径を求める
1つ目は算定式と有効細長比より柱の小径を求める方法です。こちらは先程出たようにチェックボックスにチェックを入れたうえで表計算ツールの項目を入力するだけで数値が表示されます。
②樹種などを選択し、算定式と有効細長比より柱の小径を求める
2つ目は樹種などを選択し、算定式と有効細長比より柱の小径を求める方法です。こちらは1つ目の方法にJAS規格、樹種等、等級等(積層数)の情報を加えたもので、本方法も自動的に表示されます。項目が1階、2階と分かれているので、より正確に算定できます。
③柱の小径別に柱の負担可能面積を求める
3つ目は柱の強度と樹種を決め、荷重負担範囲がどこまで可能か逆算する方法です。こちらは2つ目の項目にさらに柱材の種類 を加えた方法で、柱の⼩径別の柱の負担可能⾯積を算出し、柱が負担する⾯積と計算することでより精緻に柱の⼩径を検証できる方法です。結果は”圧縮の基準強度Fc(N/㎜2)、105角(長辺・短辺(㎜))、120角(長辺・短辺(㎜))の数値に加え、任意の数値で2種類出すことが可能です。
ただしこの方法は手作業で柱の負担⾯積を求める方法(部屋単位で範囲を分割する⽅法、柱中⼼の 2×2 グリッド範囲およびその近 傍を負担範囲とする⽅法)、ソフトウエアを利⽤し、任意の位置を最も距離の近い柱に負担させる⽅法を行った上で計算する必要があるため、時間が非常にかかります。したがって本方法よりも算定式と有効細長比より柱の小径を求める方法と樹種などを選択し、算定式と有効細長比より柱の小径を求める方法を導入している工務店、ハウスメーカーが多く見受けられます。
そして柱の必要小径を求める方法も公益財団法人日本住宅・木材技術センターにて公開しているので、ご確認ください。
新しい壁量等の基準(案)に対応した設計支援ツール(案)の公開|公益財団法人日本住宅・木材技術センター(公式ホームページ):
https://www.howtec.or.jp/publics/index/411
4,終わりに
今回は4号特例縮小による法改正で仕様規定がどのように変わったのか解説しました。4号特例の変更点の中でも、仕様規定がどのように変わるのか見えてきたでしょうか。次回も引き続き4号特例縮小の注意点について更に解説いたします。
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