コラム

地盤沈下が起きたときは? 沈下修正の工法を解説

 私たち住宅事業者にとって住宅を建てた後に発生する地盤沈下は必ず防ぎたいものです。少しでも地盤沈下が起きないようにする事も大切ですが、同等に発生した際の工法を学び提案することが大切です。そこで今回は沈下修正工事の工法を解説いたします。

1,地盤沈下とは

 地盤沈下とは過剰な揚水を繰り返し、水が絞り出された粘土層が収縮することで地面に沈んでいく現象です。一度地盤沈下が発生してしまうと元に戻ることは難しく、防ぐためには地下水の汲み上げをやめなければなりません。

 地盤沈下が発生すると、傾斜が生じます。傾きが発生すると建物を支える基礎の部分に負担がかかり、住宅の寿命を縮めてしまう可能性があります。

2,工事の対象になる地盤沈下とは

 そしてこの地盤沈下の中でもっとも覚えて頂きたいものが不同沈下です。不同沈下とは建物の一部の地盤が沈下することで不揃いに沈み、建物に傾斜が生じてしまうことです。

 水平に建てられていなければならない建物が沈下し、傾斜が生じてしまうと荷重が1か所に集まってしまい、大きな負荷がかかります。1か所に負荷がかかると、室内では下記のことが発生します。

・壁やタイルに亀裂が入る

・ドアの開閉がしにくくなる

・建物が倒壊してしまう

 上記のように、地盤沈下の中でも不同沈下は建物に大きく影響を及ぼすものと言えます。また、傾いたまま住み続けると人体にも影響が出て、体調不良の症状が出ることもありますので注意が必要です。

3,沈下修正工事の種類

 地盤沈下や私たちが携わる工事の対象となる不同沈下について見てきたところで、次に沈下修正工事の種類を解説します。沈下修正工事の種類は大きく4種類あります。

1,アンダーピニング工法

 1つ目はアンダーピニング工法です。こちらは沈下した住宅の基礎下を掘削し、建物の荷重を利用して、改めて強固な支持地盤まで杭を打つ方法です。既存の住宅の下から強い地盤部分まで杭を打つことで、信頼性も高く再沈下のリスクを下げることができます。

また、施工期間も約2週間と短く、狭い場所でも施工可能というメリットがあります。ですが、そもそもの地盤が強くなければならないため、施工できる場所が限られるというデメリットがあります。

2,耐圧版工法

 2つ目は耐圧版工法です。この工法は基礎から1メートル程の浅い層に対し行うもので、再沈下する可能性がある地盤に対し、耐圧版を設置する工法です。より分かりやすくお伝えすると、家が沈下しないように油圧ジャッキと耐圧版、コンクリートなどを住宅下に設置し、建物をジャッキアップする工法です。

施工期間も他の工法と比べて短く低予算で、重機を使用しない工法なので、狭い場所に建っている住宅でも可能です。ですが、もともとの地盤が弱いエリアの場合だと耐圧版そのものが沈下してしまうことから施工できないというデメリットが挙げられます。

3,土台上げ工法

 3つ目は土台上げ工法です。こちらは住宅の基礎部のアンカーボルトを外した後、地盤の上層部分のみに新たなアンカーを設置し直すという工法です。上層部のみに施すことから、今まで挙げてき工法よりもシンプルな工法になります。

 そしてこの土台上げ工法も施工期間が短いうえに低予算で、大型重機を使わずに進められるので工事期間の間も引っ越さずに済みます。ただし、本工法はあくまでも対応しているのは上層部のみのため、地盤そのものを解決できるものではありません、再沈下の可能性は払しょくできないので、そこは理解しておく必要があります。そして地盤の奥まで緩んでいる場合は対応できないため、地盤そのものを確認する必要があるなどのデメリットもあります。

4,薬液注入工法

 4つ目は薬液注入工法です。こちらは対象となる地盤に注入管を通してから、地盤を硬化するための薬液を注入するという方法です。注入する薬液は主にガラスなどが主成分で、工事の際は薬液を膨らませ、土と馴染ませながら強くしていくために使用します。

 騒音や振動が他の工事より少なく、施工期間が短く引っ越しをせずに済むため、お施主様の負担が少ないことがメリットとして挙げられます。ただし、使用する薬液で地面内のアルカリの影響が出てしまい、上手く馴染まないというデメリットがあります。

4,終わりに

沈下修正工事には種類が豊富であり、いずれもメリット・デメリットがあります。

こればかりは、安かろう悪かろうでは困ります。折角直したのに「再沈下」してしまうということが最も怖く、お施主様との信頼関係も崩れます。

お施主様が安全に理想の住宅に暮らし続けるためには、該当の地盤に見合った工法を提案できることが、私たち建築業の課題でもあります。お施主様が安心して暮らせるよう、改めて沈下修正工事についてご理解いただけますと幸いです。

▽沈下修正工事に関するお問い合わせはこちら▽

https://zaijubiz.jp/service/chinkasyusei/

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